文様(七宝繋文)透鍔(鐔) |
室町時代 |
円や楕円を上下左右、四方に重ねて作った文様を七宝繋文という。元は四方繋と呼ばれたものが仏教の七宝にかけて七宝繋文になったという説がある。四方に限りなく広がっていくことから繁栄を意味し、吉祥文として喜ばれ装束や器物に用いられた。その七宝文の一部を小透とした本作。全てを克明に表すのではなく、一部のみを見せて鑑賞者の想像力を求める心憎い手法である。俗な言い方をすれば「チラリズムの美学」であろうか。叩き締められ陰影深く表情豊かな地鉄は色合い黒々として鍛え良く、耳に向かってやや肉を落とす。視覚と触覚で実用の時代の厳しさと装飾への芽生えを感じたい。室町時代に使用されたそのままの無櫃の作で、まさに一刀一鐔を物語るものであろう。 |
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