鷹に小禽図鍔(鐔)
銘 藪常壽花押

江戸時代後期 紀伊国和歌山住

鉄地竪丸形高彫象嵌色絵
縦:67.2mm 横:63.2mm
切羽台厚さ:5.3mm
耳際厚さ:4.1mm
特製桐箱入

特別保存刀装具鑑定書

 生態系の頂点に君臨する鷹(猛禽)は権力者の象徴であり、武家に好まれた画題である。そのほとんどは、京都二条城二の丸御殿の障壁画「松鷹図」や甚五の「猛禽図」に代表されるような他を圧する精悍で勇壮なものである。翻って本作は、岩上に佇む片足立ちの鷹である。どうやらリラックスしているらしい。はるか遠くを見つめる大きな目には生き生きとした輝きが宿っている。極めて肉高く立体的で、巧みな肉置きと毛彫で柔らかな胸や腹の様子がよく伝わり、高彫、毛彫、象嵌色絵によってそれぞれ異なる役割の羽根が描き分けられている。足元の岩は浸食され、穴が開いていて、そこから波が見える。生き物のように立ち上がる波頭。これは和歌山の海辺の風景であろうか。鷹の背後には根が露わになった松の大木が高彫され、その枝下には一羽の雀。鷹を警戒しているのか、大きく嘴を開けている。常壽は一宮長常門人の藪常代に有縁の金工。対象を仔細に観察し、写生して構成を練り、構図を決めた長常のスタイルは孫弟子にも受け継がれている。
鷹に小禽図鍔(鐔) 銘 藪常壽花押

鷹に小禽図鍔(鐔) 銘 藪常壽花押

鷹に小禽図鍔(鐔) 銘 藪常壽花押

鷹に小禽図鍔(鐔) 銘 藪常壽花押

鷹に小禽図鍔(鐔) 銘 藪常壽花押

鷹に小禽図鍔(鐔) 銘 藪常壽花押

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