波に青物・果物図笄 |
室町時代 |
後藤上代の作など時代の上がる金工作品に見られる古風な袋着せの手法(*注)を使った作。経年により紋を覆った金属が摩滅、捲れたことによりその技法がより明らかになり、また、味わいのある古雅な風情を醸し出す。愛好家はその様を愛でるのだ。深みのある黒色の上質な赤銅地に彫り込まれた波を背景に、南瓜、枇杷、瓜、栗、茄子、杏、豆が高彫され袋着せを施されている。これは一体何を意味するのか。精霊会であろうか。そうだとしても、それぞれの果実の旬が重ならないものがあるのは何故だろう。波と果実には特に関連性はないのかもしれないが…。紋は高く、際端が引き締まって立体的。詳細な描写に加え表面を覆う金銀は厚みがある。耳掻と眉形の形は端正で、しっかりと巻いた金蕨手が鮮やか。 (*注)金や銀など金属の薄板で紋を覆い、その根元(際端)に金属を固着させる技法。ウットリ色絵ともいう。 |
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