牡丹獅子図目貫 |
江戸時代初期 山城国京都 |
口角をキュッとあげ阿吽の吉相を表した獅子。百花の王牡丹と百獣の王獅子は武家に相応しい画題である。厳かなと形容したくなる色合いの金地は、打ち出し強く、陰影の濃い、引き締まった立体的な造形。正に山高く谷深くといった様相である。鏨の跡を追って、表側だけでなく裏行も楽しみたい。強く押し出され高く張った胸。丸みを帯びて膨らんだ腹は腰の手前でグッと引き絞られ、四肢には筋状の、背と胸には筋骨を表す鏨が入っている。幾重にも花びらを重ね、ふわりと広がる牡丹花。研ぎ澄まされた様式美で品位と格式を伝えるお家彫りならではの見事な作である。佐藤寒山博士は「無銘 後藤程乗」と極められている。 |
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