張果老図鍔(鐔) |
江戸時代後期 常陸国水戸住 |
「瓢箪から駒」でお馴染の張果老は中国唐代の道士で八仙の一人。白驢に跨り一日に数万里を移動し、休む時は驢馬を紙のように折りたたんで箱に仕舞い、乗る時は水をかけて元の姿に戻したという。何と便利なことだろう。日本に伝わると、いつの間にか驢馬が駒となり、箱は瓢箪になった。ゆったりと大振りな撫角形の四分一地に展開する本作は英一蝶の絵を用いている。渦を巻いて迸る激流を越え、雨をものともせずに大空へ駆けあがる。雲の上はきっと晴れ渡った空が広がっていることだろう。張果老の衣は金布目象嵌、駒は四分一地高彫に銀と赤銅の平象嵌。足についている鉤爪のようなものは一体何だろうか。鋤き取った地の上を叩いて荒らした雨雲、消え入りそうな毛彫の雨。地造りに工夫が見られ興味深い。裏面は瓢箪の一部を描くという洒落た構成である。専龍斎安光は細かな金銀布目象嵌を得意とする水戸一柳派の金工。緻密なだけではない、その場の空気感まで伝えようとする姿勢が感じられる。 |
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