化粧道具図透鍔(鐔) |
江戸時代中期 山城国京都 |
鍛えの良い深い錆色の鉄地を真丸形に造り込み、切羽台を斜めに横切って鏡台を配し、周囲に化粧道具箱、盥、鏡を肉彫り地透かしとした洒落た感覚の鐔。京正阿弥の技を駆使した華やかな布目象嵌が目を引く。化粧は女性のみがしたもの、と思ってはいないだろうか。実は戦国時代の武士は化粧をすることがあった。権威や身分の高さを示すため、豪胆で勇猛果敢に見せるためである。有名な『おあむ物語』では討ち取った首の身分を高く見せるため少女達が化粧を施す場面が語られている。それはさておき、本作は立体感のある肉彫りで器物の表と裏をしっかりと描いている。特に盥と化粧箱の円やかな曲面は見事。鏡には三ツ巴紋が銀象嵌されている (昭和47年発行の特別貴重刀装具認定書では無銘 正阿弥一郎兵衛政徳と鑑定されている。) |
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