李白観瀑図鍔(鐔) |
江戸時代後期 播磨国 |
暉真はかつて酒井抱一と同一人物と誤認されていたこともある。抱一の字(あざな)が暉真だったことが原因であろうが、品格を感じさせる作風や独創性、技量の高さから真実味があったのであろう。大振りの朧銀磨地を端正な撫角形に仕立て、耳は浅い打ち返し。松の大木の下、立ち去りがたく振り返り、遥か上方の滝を仰ぎ見る人物は李白である。いつも傍に控えている酒壺を持った侍童はもう先に歩いて行ってしまったのだろうか。詩仙李白の有名な詩「望廬山観瀑」に因んだ「李白観瀑図」は装剣小道具に限らず好画題とされ幾つかのバリエーションが見られる。そのほとんどが一人、または侍童と共に滝に向って立っているもので、本作のように振り返っているものは珍しい。渓流の岩や水の表現に独特の鏨使いが見られ、ゆったりとした衣を纏った李白の高彫は、衣の中に確かに肉体があると感じられる。 |
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