金海松文変り塗鞘大小拵
Kin miru mon nuri kawarinuri saya daisho koshirae |
大 拵全長 三尺八分(九三・五糎) ご成約賜りました 打ち付けたような抑揚のある凹凸と、渦巻いて流れるような刷毛目の痕跡を下地とし、その漆黒の凹部に金粉を塗り施して研ぎ出すことにより藻草のような文様を浮かび上がらせた漆塗りは、江戸時代の高位の武家の普段差しに好まれて採られた装飾手法の一つ。この大小拵でも品良く、金を用いながらも粋に通じる風合いを漂わせている。赤銅魚子地木瓜形の大小鐔は枝菊を平地に、耳に五三の桐紋を同じ調子で高彫して金の色絵を施した、江戸時代後期の美濃様式。新趣の菊が彫り描かれており、黒地に鮮やか。猿を狙う猛禽を描いた大小縁頭は江戸の國岡政國の在銘作。この図は政國が得意としたもので、本作は朧銀地に鋤き下げ深く肉高く彫り表し、殊に頭の鷹は五ミリほどの高彫で、今にも飛び出さんばかりの迫力。金銀素銅の色絵も効果的。目貫は大が松樹に烏梟図で、赤銅地容彫金色絵、小は上質の赤銅地を容彫金色絵にした鮮やかな椿図。これを茶色糸で片捻片摘に巻き締めている。柄糸は古いままで一部風化しかかっており、そのキラキラとした繊維の様子も美しい。脇差には這龍図小柄が備えられている。 |
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