肥前国 寛文頃
刃長 一尺二寸九分
元幅 一寸三厘
重ね 二分
金色絵二重ハバキ 白鞘入
昭和三十六年福岡県登録
特別保存刀剣
1,200,000 円
(Item number: 1743)
Hizen province
A.D. 1661-1672
(Kanbun era, Durring the Edo period, under the rule of the fourth shogun, Tokugawa Ietsuna)
Hacho (Edge length) : 39.1cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) : Approx. 3.12 cm
Kasane (Thickness) : Approx. 0.61 cm
Gold plating (iroe) double Habaki
Shirasaya
Tokubetsu-Hozon
1,200,000 JPY
近江大掾忠廣は肥前國忠吉(ごじただよし)の子。寛永九年十九歳で亡父の跡を受けて当主となる。古参の門人の助力で家を守り、主君鍋島侯の需に応えて献上刀を手掛け、父と共に研究した直刃や乱刃に工夫を加えて洗練味を加え、新機軸を打ち出している。
この脇差は、身幅が広く寸法が控え目の南北朝時代を想わせる平造脇差で、腰元から反りが浅く付いた垢抜けた姿。寛文頃としては比較的珍しく、特別の注文になるのであろう。地鉄は小板目肌が詰み澄み、細かな地景が縦横に入り、小粒の地沸が厚く均一に付く。潤いに満ちて弾力味があるこの地鉄は、米糠を撒き散らしたような様相から、肥前特有の小糠肌。得意の直刃の刃文はゆったりと湾れ、帽子は焼深く残し、僅かに掃き掛けて小丸に返る。精美な沸の粒子が密集した匂口の幅は広く元から先まで帯状に連なり、小形の金線が微かに掛かり、匂が敷き詰められた刃中は青み帯びて冴える。茎の保存状態は良好で、浅い勝手上がり鑢が掛けられ、やや大振りの銘字から製作は寛文三年頃、知命の五十歳の作とみられる。刀と違い、脇差ゆえに茎を軽々と手にして元から鋒までの全体を鑑賞し、名手近江大掾忠廣の優技のすべてを楽しめるのがうれしい。(商品番号1743)
注…「近」の字形や忠の心の第二画の形が寛文三年八月日紀の脇差(『肥前刀大鑑』)の銘形に似ている。