薩摩国 享和三 六十一歳
刃長 二尺三寸七分六厘
反り 四分六厘
元幅 一寸一分六厘強
先幅 七分九厘
棟重ね 二分三厘
鎬重ね 二分五厘
彫刻 表裏 棒樋丸止
金着二重鎺 白鞘入
平成二十八年山口県登録
特別保存刀剣
1,500,000 円
(Item number: 1732)
Satsuma province
A.D.1803 (Kyowa 3, Edo period)
Work at his 61 years old
Hacho (Edge length) : 72cm
Sori (Curvature) : Approx. 1.39cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) : Approx. 3.51cm
Saki-haba (Width at Kissaki) : Approx. 2.39cm
Kasane (Thickness) : Approx. 0.76cm
Engraving : "Bo-hi" maru-dome on the both sides
Gold foil double Habaki
Wooden case (Shirasaya)
Tokubetsu-Hozon
1,500,000 JPY
薩摩刀工波平安行(注①)は安常の子で寛保三年の生まれ。名を橋口勘之丞といい、初め安州、安氏と銘し、享和二年に波平第六十代目を継いで安行と改銘した。柾がかった板目鍛えの地鉄に直刃仕立ての重厚な刀を鍛え、一刀両断を目的とした薩摩隼人の需に応えている。
この刀は棟を真に造り、元先の身幅が極めて広く両区深く、鎬が張って重ね厚く、棒樋が掻かれてなお手持ちはずしりと重く、適度に反った中鋒の頑健な姿。板目鍛えの地鉄は刃寄りに流れごころの肌を交えて小板目状に良く詰み、地景が入って肌が明瞭に現れ、粒立った地沸が厚く付いてしっとりと潤い、鉄色冴えて肥前の小糠肌を想わせる。小沸の帯が広く深く、刃先に向かって淡く広がる広直刃の刃文は、形の定まらない小互の目を交えて浅く湾れ、円らな小沸が深く付いて刃縁の光強く、刃境には湯走り掛かり、喰い違いごころ、二重刃ごころとなり、沸足と葉が盛んに入り、刃中は沸匂充満して明るい。横手辺りから浅く乱れた帽子も焼深く、沸付いて二重刃風の小丸に返る。波平特有の細かな檜垣鑢が掛けられた茎には銘字が細鑚で入念に刻されている。注目されるのはその茎形で、薩摩独特の操刀法と拵の柄形に則して、先へ行って僅かに刃寄りに反っていることは特筆される(注②)。示現流を使う上級武士が所持した一振であろうか(注③)。同作中でも屈指と称すべき見事な仕上がりとなっている。
注①…『古今鍛冶備考』。因みになお波平安行は「波平らかにして行くに安し」という銘字から往時の船舶関係者に好まれたという。
注②…柄が頭から縁にかけて内反り形になっていた方が相手により深く斬り込めるという。調所一郎著『薩摩拵』に詳しい。
注③…重量があるため、刃方が下になるように鞘を返した後に素早く抜き放ち一気に打ち下ろす薬丸自顕流の武士の所持とも考えられる。
(商品番号1732)