加賀国 南北朝後期至徳頃
刃長 一尺三寸四分
反り 二分
元幅 一寸三厘
棟重ね 二分一厘
彫刻 表裏 棒樋掻流し
金着一重ハバキ 白鞘付
本間薫山博士鞘書「至徳比」
『鑑刀日々抄 続三』所載
黒蝋色塗鞘合口脇差拵入
拵全長 一尺九寸一分
柄長 四寸六分
昭和五十四年千葉県登録
特別保存刀剣(加州)
800,000 円
Kaga province
Shitoku era (A.D. 1384.1387, late Nanboku-cho period)
Hacho (Edge length) : 40.6cm
Sori (Curvature) : 0.61cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) : Approx. 3.12cm
Kasane (Thickness) : Approx. 0.64cm
Engraving: "Bo-hi" kaki-nagashi on the both sides
Gold foil single Habaki
Calligraphy on the wooden case (Shirasaya),
written by Dr. Honma Kunzan "Shitoku"
Published in "Kanto Hibi no sho"
Kuro ro-iro nuri saya, aikuchi wakizashi koshirae
Whole length : Approx. 57.9cm
Hilt length : Approx. 13.9cm
Tokubetsu-Hozon
(Kaga province)
800,000 JPY
加賀国は、奥州へ逃れる義経の安宅関の逸話にも登場する富樫氏や足利一門の斯波氏が領し、古来武士が躍動した北陸道の要衝で、友重や真景などの鍛冶が活躍している(注①)。
表題の行光二字銘の脇差は、『日本古刀史』の著者本間薫山博士が南北朝後期の至徳頃と鑑定して鞘書している(注②)、同銘中最も時代が上がる遺例。身幅広く重ねがやや厚い、南北朝後期の典型的姿。板目鍛えの地鉄は刃寄りに柾を配し、太い地景が入り、粒立った地沸が厚く付き、刃の際が黒く澄んで平地に沸映りが立つ。その古風な肌合いは室町時代の行光とは全く異質。細直刃調の刃文は微かな小互の目を交え、淡雪のような小沸で刃縁明るく、刃中に溶け込むように足が入り、刃境に打ちのけ風の湯走りが掛かり、処々微かにほつれ、或いは喰い違い、刃中には匂が立ち込めて霞立つ。帽子は僅かに掃き掛け、やや突き上げて小丸に返る。刃方が削ぎ上げられた個性的な形の加州茎に、銘字が太鑚で堂々と刻されている。地刃は熱田神宮の友重や貞治年紀の真景同様に古色に溢れ、加州行光元祖の優質がよく示された稀有の名品であり、かつ資料的な価値も高い。
付帯する拵は、しっとりとした朧銀磨地の一作金具で装われている。
注①…友重の遺作には、鎌倉末期から南北朝時代とみられる二字銘の太刀(熱田神宮 重美)があり、越中則重門と伝える真景にも「賀州住真景」銘の貞治六年月日紀の短刀(重文)がある。
注②…『鑑刀日々抄続三』で「経眼したものの中では最も古く、南北朝末期のものとおもわれ、銘鑑に『加賀真景門・永和比』とあるものにほぼ該当し、やや下がる感がある」としている。因みに永和を下がる十年後が至徳。