尾張国 文政（脇差 文政十二年）
大
刃長 二尺二寸六厘
反り 五分九厘
元幅 九分五厘
先幅 六分六厘
棟重ね 二分三厘
鎬重ね 二分四厘強
彫刻 表裏 玉追龍地肉彫
小
刃長 一尺四寸八分
反り 四分三厘
元幅 九分二厘
先幅 六分五厘
重ね 二分二厘
彫刻 表 玉追龍地肉彫
裏 八幡大菩薩文字陰刻
渦巻模様変り塗鞘大小拵入
大
拵全長 三尺一寸六分
柄長 八寸
小
拵全長 二尺三寸九分
柄長 六寸
大小共 昭和三十九年京都府登録
大小共保存
1,750,000 円
Owari prpvince
Bunsei era (Wakizashi: Bunsei 12)
Katana
Hacho (Edge length) : 66.8cm
Sori (Curvature) : Approx. 1.79cm
Motto-haba (Width at Ha-machi) : Approx. 2.88cm
Saki-haba (Width at Kissaki) : Approx. 2cm
Kasane （Thickness）: Approx. 0.73cm
Engraving : "Tama-oi ryu" on the both sides
Wakizashi
Hacho (Edge length) : 44.9cm
Sori (Curvature) : Approx. 1.3cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) : Approx. 2.79cm
Saki－haba (Width at Kissaki) : Approx. 1.97cm
Kasane (Thickness) : Approx. 0.67cm
Engraving : "Tama-oi ryu" on the right face (Omote)
"Hachi man dai bo satsu" 5 letters on the back face (Ura)
Kawari nuri (swirl pattern) saya, daisho koshirae
Katana:
Whole length : Approx. 95.7cm
Hilt length : Approx. 24.2cm
Wakizashi:
Whole length : Approx. 72.4cm
Hilt length : Approx. 18.2cm
Hozon (Both Katana and Wakizashi)
1,750,000 JPY
薩摩刀工大和守奥元平の異色の門人青木元長は彫物上手としても知られ、特徴のある真行草様々な龍神を刀身彫りした作品を遺している。摂津国に生まれ、尾張の六代目伯耆守信高に学んで後に尾崎助隆にも師事し、さらには薩摩伝をも摂取した探究心の強い人物であった。
掲載の大小一腰は、黒漆地に金粉にて渦巻模様風に変り塗りとした大小拵に納められて伝来したもので、大小とも小柄笄櫃が設けられているが、現在は小柄、笄ともに欠失している。
薩摩では波平一門にも学んだのであろうか、独特の檜垣鑢が施された反りのある茎仕立ての刀身は、伸びやかで安定感のある姿格好。地鉄鍛えは詰んだ小板目肌。大刀は刀身表裏に、焼刃の乱雲を掴むようにして天空を駆け、宝珠に追い迫る龍神の姿を真の彫刻手法にて肉彫表現しており、龍神の爪と鱗は鋭く立って空を切り裂くが如し。脇差の龍神も同図ながら鱗を密に施して躍動感を高めている。裏は八幡神の文字の陰刻。大刀の刃文は彫刻を考慮してのものであろう匂い主調の出入り激しい互の目乱とし、刃縁に小沸が奇麗に付き、焼頭は左右に張り出して耳形、矢筈形、蟹の爪風、角刃風となり、あるいはその一部に小互の目が複式に配されて拳風に屈曲し、乱舞の様相を呈する。帽子は浅く乱れ込んで先が中丸に返る。これに比して脇差は、小沸主調の虎徹にみられるような浅い互の目の連続する端整な刃採りで、小沸の足が淡く刃中に射して冴え、物打辺りの刃縁に金線が鋭く走る。帽子は激しく掃き掛けて返る。