拵全長一尺四寸二厘
柄長三寸七分二厘
大小刀（刀身銘）尾州犬山住大嶌道暁
（茎表）拵山田宗徧自作ㇳ云
（茎裏）刃紋文久二年戌仲秋作之
尾張国 文久
刃長六寸八分六厘
反り僅少
元幅七分二厘
棟重ね一分五厘
木ハバキ 白鞘付
昭和４２年静岡県登録
保存
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Koshirae
Whole lengtj : 42.5㎝
Hilt length : 11.3㎝
O kogatana
Signed. Bishu Inuyama ju Oshima MIICHIAKI（on the sword）
Koshirae Yamada SOHEN jisaku to tsutaeru (on the right face of Nakago)
Hamon Bunkyu 2 nen Inu chushu kore wo tsukuru
Owari province
Bunkyu 2 （A.D. 1862, late Edo period)
Hacho (Edge length) : 20.8㎝
A little curvature : 0.2㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) : 2.2㎝
Kasane (Thickness) : 0.46㎝
Wooden Habaki
Wooden case (Shirasaya)
Hozon
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江戸時代前期の茶人山田宗徧(そうへん)は寛永四年京の東本願寺派長徳寺に生まれた。家を継ぎ、住職として勤めるも、物心ついてこの方、親しんでいた茶の湯を究めんとの思いが募り、十八歳の時に千利休の孫宗旦に入門。八年後、ついに住職を辞し、茶人山田宗徧として洛西三寶寺に四方庵を建てた。そして師宗旦の推挙で三河吉田藩小笠原家の茶頭となる。四十三年仕えた後、主家の転封を機に江戸へ出、本所二丁目の庵で、修業と宗徧流の普及(注①)に努めた。
表題の小さ刀拵は山田宗徧自作(注②)と伝える、鹿角を装飾の要とした現存稀有の逸品。杢目模様塗の柄と鞘の随所を巻き締める籐の色合いは深く、角は成形されてはいるが自然のままの肌合いを残しており、野趣と古寂な風趣が充満している。目釘の穴は角と象牙で丸い貝柄形に造られ、軽妙質実な、侘茶人好みの佇まい。附帯する大小刀(おおこがたな)は、宗徧自作拵を入手した茶人の為に尾張犬山の刀工大嶌道暁(みちあき)が製作した一口。「刃紋文久二年戌仲秋作之」とあり、製作は文久二年八月。茶席を飾る四季の草花を切る「花切刀」として所持したものであろう。江戸人が愛した風流の形と山田宗徧の侘茶の世界を垣間見せて貴重である。
注①十一代目幽々斎山田宗徧が鎌倉に不審庵を構える。門弟は多く、全国に支部がある。
注②茶杓・花入・茶碗等の製作の他、琵琶、阿弥陀如来木像を自作し、造園にも長けた芸術家であった。