平造脇差
銘 宇多國正

Hira-zukuri wakizashi
Uda KUNIMASA

越中国 文明頃 約五百四十五年前
刃長 一尺
元幅 九分
重ね 一分七厘
彫刻 表裏 棒樋掻流し
金着二重ハバキ 白鞘付

黒笛巻塗鞘小さ刀拵入
 拵全長 一尺六寸四分
 柄長 三寸三分

昭和五十五年静岡県登録

特別保存刀剣鑑定書(時代室町後期)
百十万円(消費税込)

Ecchu province
Bunmei era(A.D.1469-1486, mid Muromachi period)
About 545 years ago

Ha-cho (Edge length) 30.3cm
Moto-haba (width at Ha-machi) approx. 2.73cm
Kasane (thickness) approx. 0.52cm
Engraving: "Bo-hi" kaki-nagashi on the both sides
Gold foil double Habaki
Wooden case (Shirasaya)

Kuro fuemaki nuri saya, chisa-gatana koshirae
 Whole length: approx. 49.7cm
 Hilt length: approx. 0.52cm

Tokubetsu-Hozon certificate by NBTHK
(late Muromachi period)
Price 1,100,000 JPY

 越中国に日本刀の鍛冶として栄えた宇多派は、大和宇陀出身の古入道國光を始祖として鎌倉後期に興った。國房、國宗、國久などの名手を擁して同国宇多(富山県西砺波郡福岡町三日市)に居住し、幕府管領をも勤めた越中守護畠山氏とその家中の武士の為に日本刀を製作した。文明頃を活躍期とする國正は、応永頃の國房の子という(『日本刀銘鑑』)。
 表題の平造脇差は、棟を真に造り、身幅広く寸法を控えて反りの無い端正な姿に棒樋が掻かれた、引き締まって美しい造り込み。板目肌に杢、刃寄りに柾を配した地鉄は、殊に差裏の杢目肌に地景が太く入って肌目が明瞭に起ち現れ、小粒の地沸が厚く付いて瑞々しく潤い、恰も透き通るような鉄色となる。直刃に丸い互の目を二つ間遠く配した刃文は、物打付近の焼幅がやや広い湾れとなり、刃縁に銀砂のようなつぶらな沸が厚く付いて眩く輝き、刃境に小形の金線や砂流し、湯走りが掛かり、沸足も盛んに入り、刃中には匂が立ち込めて澄み冴える。帽子は突き上げ、僅かに刃に寄って返る。茎には親と伝える宇多國房に酷似した細鑚の四字銘が神妙に刻されている。高位の武士の需で精鍛された作であろう、出色の仕上がりとなっている。
 末広がり(扇)に鳴物(太鼓)の、縁起物の組合せからなる目貫と、薩州正幸の手になる共小柄が付された、黒笛巻塗鞘の拵に収められている。