刃長 一尺三分
反り僅少
元幅 九分二厘
重ね 二分四厘
金着二重ハバキ 白鞘入
平成十四年福岡県登録
七十万円(消費税込)
Hacho (Edge length) 31.2cm
A little curvature
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx.2.79㎝
Kasane(Thickness) approx. 0.73cm
Gold foil double Habaki / Shirasaya
Price 700,000 JPY
昭和、平成を代表する名工の一人宗勉(そう つとむ)刀匠は、昭和二年五月一日鹿児島県出水郡高尾野村の生まれ。昭和二十一年に父宗正光に師事して鍛刀業を修め、最上大業物として遍く知られる長曽祢虎徹を範に作刀して高い評価を得た。作刀の晴れやかさに期待した鑑定家の池田末松先生から、源清麿を目標とすることを助言された宗師は、持ち前の技術に磨きを掛けて天才清麿に挑戦し、これに比肩する作行に到達して「清麿の宗」の異名を取るに至った。
表題の平造脇差は宗勉刀匠の清麿伝の一振。身幅広く重ね厚く、ごく僅かに反ってふくらがやや枯れた鋭利な姿。板目鍛えの地鉄は強く錬れ、厚く付いた粒立つ地沸を切り裂くように地景が脈々と入って活力が漲り冴える。刃文は互の目に尖りごころの刃を交えて高低変化し、激しく乱れ込んだ帽子は金線と砂流しを伴い、突き上げて長めに返る。美しい沸匂の調合になる焼刃は、刃縁が小沸で明るく、物打から中程の平地の湯走りが真砂の如く煌めき、元から先まで金線と砂流しが躍動し、沸足太く入り、刃中に立ち込めた匂が光を強く反射して抜群の明るさ。製作時そのままの白銀色の茎には銘字が堂々と刻されている。古希を過ぎて尚も意気盛んな宗勉師の源清麿写しの佳作である。