刃長 二尺二寸六分七厘
反り 六分九厘
元幅 一寸一分五厘
先幅 九分二厘
棟重ね 二分一厘
鎬重ね 二分四厘
彫刻 表裏 棒樋掻き流し
金着二重ハバキ 白鞘入
平成七年兵庫県登録
価格 八十五万円(消費税込)
Hacho (Edge length) 68.7cm
Sori(Curvature) 2.1cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) 3.5㎝
Saki-haba (Width at Kissaki) 2.8cm
Kasane(Thickness) 0.73cm
Engraving: "Bo-hi" kaki-nagashi on the both sides
Gold foil double Habaki / Shirasaya
Price 850,000 JPY
秋葉包平(あきばかねひら)刀匠は昭和二十九年三月二十四日兵庫県出石郡出石町の生まれ。昭和四十九年宮入昭平師に入門し、昭和五十五年に独立。古名刀、とりわけ相州伝を目標に作刀。包平師によれば、鉄は真っ赤な火の中でフツフツいう音を出し、どうなりたいのか語りかけて来るという。包平師は全神経を集中させて鉄の声を聴き、鉄の持つ無限の可能性の中の最善を目指し、鎚を振るっているという(注①)。
この刀は平成七年刀剣保存協会の新作刀展で優秀賞に輝いた、名物観世正宗の刀写しの刀(注②)と同時に精鍛された一振。棟を真に造り、幅広で重ね厚く、観世正宗と同じく棒樋が掻き流され、反り高く鋒が大きく延びた力強い姿。地鉄は小板目肌が強く錬れ、厚い地沸の底に太い地景が蠢くように入って肌が活力に満ち溢れる。浅い湾れに互の目を交えて奔放に変化する刃文は、粒立った沸の光が強く、一部凝って正宗にもある雪の叢消えの様相を呈し、金線と砂流しが筋状、或いは杢状に働いて刃境の変化は絶妙。太い沸足が盛んに入った刃中は強く沸付いて明るい。帽子も強く沸付き、激しく乱れ込んで僅かに返る。茎は製作時そのままの白銀色で、銘字も入念。相州正宗を連想させる、素晴らしい出来栄えの一刀である。
注②…徳川家康に能楽の観世黒雪が世阿弥の『花伝書』と共に献上と伝える、刃長二尺一寸二分五厘。樋中に梵字・剣・倶利迦羅彫がある。国宝。