刃長 二尺四寸二分五厘
反り 五分三厘
元幅 一寸一厘半
先幅 七分
棟重ね 二分三厘強
鎬重ね 二分三厘弱
彫刻 表裏 二筋樋丸止
金着二重ハバキ 白鞘付
黒石目地塗鞘打刀拵入
拵全長 三尺三寸二分
柄長 七寸六分
昭和二十九年宮城県登録
特別保存刀剣鑑定書
Hacho (Edge length) 73.4cm
Sori(Curvature) approx. 1.6cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx.3.08㎝
Saki-haba (Width at Kissaki) approx.2.12cm
Kasane(Thickness) approx. 0.7cm
Gold foil double Habaki / Shirasaya
Kuro ishimeji nuri saya, uchigatana koshirae
Whole length: approx. 100.6cm
Hilt length: approx. 23cm
Tokubetsu-hozon by NBTHK
貞重は尾張国の刀工で、承応四年四月に對馬掾(つしまのじょう)を受領している(『町人受領記』)。寛文四年三月に江戸の試刀家山野加右衛門永久から著書『鉄鍛集』を贈られた際、宛名に「對馬守貞重殿」とあり、その頃既に守に転任している。遺作には二尺八寸の刀があり(『刀剣銘字大鑑』)、師である越中守貞幸にも二尺四寸を超す刀の遺例(注)が知られ、長寸刀を用いる流派の武士の需(もとめ)に応えていたとみられる。
この刀も元来二尺五寸近い長寸で、僅かに区送りながら身幅広く重ね厚く、中鋒にて重量があり、深く掻かれた二筋樋で姿が強く引き締まった造り込み。板目鍛えの地鉄は処々地斑風の肌を交え、小粒の地沸が付いて肌が冷たく澄む。刃文は中直刃に浅い湾れと小互の目を交え、帯状に沸が付き、刃境に湯走りが掛かって二重刃ごころあるいは喰い違いごころの態を見せ、小足が頻繁に入り、焼刃の硬度は万全の調整。帽子は焼を深く残し、僅かに掃き掛けて小丸に返り、長く棟を焼く。茎には銘が力強い鑚使いで入念に刻されている。
黒石目地塗鞘の質実な拵に納められ、所持した武士の気風を今に伝えている。