刃長 一尺七寸六厘
反り 三分六厘
元幅 一寸九厘
先幅 八分一厘
重ね 二分六厘
鎬重ね 二分七厘
金着二重ハバキ 白鞘入
平成四年沖縄県登録Hacho (Edge length) 51.7㎝
Sori (Curvature) approx. 1.1㎝
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 3.3㎝
Sakihaba(Width at Kissaki) approx.2.48cm
Kasane (Thickenss) approx. 0.84㎝
兼濱清周(かねはまきよちか)師は沖縄県初の刀匠で、昭和二十六年十二月十五日の生まれ。琉球大学短期大学部商学科在学中に刀を静観する機会を得、深く魅了されて我が手で刀を打つ、との熱い思いを胸に、昭和四十九年に人間国宝宮入昭平の弟清宗刀匠に入門。長野県坂城での修業の末、昭和五十五年作刀承認を得、昭和五十七年新作名刀展で努力賞を受賞し、昭和五十八年に独立して郷里の大里に鍛冶場を構えた。
この脇差は身幅広く両区深々とし、鎬筋も高く重ね厚く、中鋒に造り込まれた量感ある姿で、ズシリとした手応えが魅力。地鉄は板目に柾気を配して強く錬れ、厚く付いた粒立つ地沸を分けるように地景が入り、地肌に活力が漲る。刃文は逆がかる丁子に小互の目、小湾れを交え、淡雪のような沸で刃縁締まりごころに明るく、沸付いて明るい刃中に射す足を遮り元から先までほつれ、金線、砂流しが掛かって刃肌が層を為し、一部はこれが23-09渦巻状に現れて刃境を華やかに彩る。帽子は浅く乱れて小丸に返る。茎は製作時そのままに白銀色に輝き、銘字が神妙に刻されている。平成五年八月、支援の方々への感謝、そして刀の魅力を伝えるための個展へ向けて精鍛された兼濱清周渾身の一振である(注)。
注…布袋粻一師製作の鎺、高山一之師の白鞘が付され、研ぎは臼木良彦師である。