刃長 一尺二寸九分
反り 二分
元幅 八分七厘
棟重ね 一分五厘
鎬重ね 一分九厘
金着二重ハバキ 白鞘入
平成元年東京都登録
特別保存刀剣鑑定書
Hacho (Edge length) 39.1cm
Sori (Curvature) approx.0.61cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 2.64㎝
Kasane (Thickness) 0.58㎝
Gold foil double Habaki / Shirasaya
Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK
師景は南北朝期の備前刀工大宮(注)盛景の子で、盛光や康光などと同じ室町初期に鎚を振るった。師景の作は、映りの立つ地鉄に高低変化して逆がかる刃文で、銘字の横画が右から左へ刻される逆鑚となるなど見どころが多く、個性が顕著である。
この脇差は足利義満の子義持の時代、関東管領上杉禅秀が鎌倉公方足利持氏に反旗を翻した応永二十三年の作。この乱は、鎌倉府の内紛に止まらず、将軍義持の弟義嗣、有力守護大名の赤松、斯波、細川らも関与した一大事で、平和な応永時代ながら、将軍と鎌倉公方、守護などの力の均衡が危うく、紛争の可能性は常にあった。それ故、武士達は寸を控えた抜刀し易い脇差を腰元に備え、いざという場合の恃みとしたのである。
菖蒲の葉を想わせる鋭利なこの脇差は、師景の特色顕著な一振。板目肌に杢目を交えて肌起ち、地沸が白く輝く部分と地斑風に黒く澄む部分とが混在し、さらに焼頭から煙り込むような映りが立って味わい深い肌合いとなる。刃文は互の目に丁子、片落風の刃、尖りごころの刃を交えて逆がかり、淡雪のような沸で刃縁明るく、金線、砂流しが盛んに掛かり、匂で澄んだ刃中に足が射す。帽子は乱れ込み、やや突き上げて長めに返り、そのまま断続的に棟を焼く。錆色黒々とした茎の、逆鑚の銘字は鑚の線が清く澄み、表裏から穿たれた目釘穴も古風。陰謀渦巻く応永期を生きた武士の所持で、当時の実情を伝えて貴重である。注…鍛刀地は吉井川を挟んだ長舩の対岸、妙見山麓の福岡宮近くの大宮郷とみられる。







