日本刀専門店銀座長州屋 音声解説


平三角大身槍 無銘 末手掻

Hira sankaku Oumi yari
No Sig. Sue TEGAI


大和国 室町時代中期 530年前

穂長一尺三寸三分半(40.45㎝)

元幅八分四厘(2.56㎝) 重ね三分(0.93㎝)

茎長一尺三寸二分三厘(40.1㎝)

彫刻 裏 打樋 白鞘入

昭和26年京都府登録(8968号3月25日)

保存刀剣鑑定書

価格四十万円(消費税込)

Yamato province
Mid Muromachi
530 years ago

Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 2.56㎝
Kasane (Thickness) 0.93㎝
Engraving Bo-hi

Shirasaya
Registered in Kyoto ( 1951)

Hozon certificate by NBTHK

Price 400,000 JPY

 

 室町中期の大和国手掻派の大身槍で「末手掻(すえてがい)」と極められている(注①)一筋。手掻派は、鎌倉後期に東大寺輾害門の前に住した包永に始まり、室町期は包真・包俊・包吉・包貞・包清・包久など包の字を冠する刀工が、社寺および武将の為に鎚を振るっている。  この槍は、戦国時代の合戦の場からそのまま現れたかような造り込み。塩首は黒田長政の一国長吉(注②)の如くに極めて長く、重ね厚く力強い姿。凛と立った鎬筋には中程に五つ、斬り込んで来た敵の刃を受けたと思しき鋭利な打ち込み傷があり主戦武器として常に戦陣に在りしを雄弁に物語っている。地鉄は板目肌が強く流れ、厚い地沸が光を強く反射して輝く。直刃の刃文は小互の目を交え、小沸が柔らかく付き、打ちのけ、湯走り、小形の金線、砂流しが掛かって、処々ほつれ、大和物らしい働きをみせる。茎は錆深く、目釘穴が表裏から穿たれ時代色が濃厚。槍を右脇に手挟んだ戦国武将の雄姿を想起させる大身槍である。


注①戦国期の槍で末手掻極めは希少。大和国では金房派に先駆ける存在であったと思われる。

注②黒田長政は平安城長吉一尺四寸一分の槍を手に関ケ原で奮戦し、その功により筑前一国を得た(沼田鎌次『新版日本の名槍』)。

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