短刀
無銘 平戸左

Tanto
no sign HIRADO SA


肥前国 南北朝末期 約600年前

刃長 七寸六分
内反り僅少
元幅 七分四厘
重ね 二分

秋草図一重ハバキ(細野惣左衛門政守 花押)
白鞘付

黒漆塗一分刻鞘合口拵入
拵全長 一尺四寸四分二厘
柄長 三寸六分

昭和三十五年神奈川県登録

保存刀剣鑑定書 (平戸左)

価格 四十五万円(消費税込)

Hizen province
Late Nanboku-cho period about 600 years ago

Hacho (Edge length) 23cm
Slightly curved inward
Moto-haba (Width at Ha-machi) 2.24㎝
Kasane (Thickness) 0.61㎝

"Akikusa" engraving single Habaki: Sig. Hosono Sozaemon Masamori(Kao)
Shirasaya

Kuro urushi nuri ichi-bu kizami saya, aikuchi koshirae
Whole length 43.7cm
Hilt length 10.9cm

Hozon certificate by NBTHK (Hirado-Sa)

Price 450,000 JPY

 鎌倉後期、筑前に現れた左文字は、九州の伝統的鍛法に相州伝を入れて、沸強く覇気のある作風を展開し、一世を風靡した。左文字に師事した門人中で、肥前国平戸に鍛冶場を設けて栄えたのが盛廣、盛吉、守貞、貞清など。師譲りの精良で明るい地鉄に沸出来の焼刃の作を手掛けた彼らは、古来、平戸左と呼ばれている。
 この短刀は平戸左と極められた生ぶ茎無銘の一口。身幅重ね尋常で、内反り僅かについて、ふくらやや枯れ、平地と棟際の線が起ち、鋭利できっぱりとした美しい姿。地鉄は無類に錬れて詰んだ小板目肌に地沸が微塵に付き、平地全面に沸映りが立ち、透き通るような鉄色を呈する。直刃調の刃文は、銀の砂粒のような沸の粒子で刃縁明るく、刃境に湯走りが掛かって二重刃、喰違刃となり、煌めく金線が躍動して小模様ながら働きは活発。帽子は金線を伴って激しく突き上げて返り、師左文字の帽子に全く同然。幕政時代は無銘左の名短刀として伝来したものであろう。
 細野惣左衛門政守在銘の特製の秋草図鎺が付され、堅木柄に黒漆塗一分刻鞘の拵は重厚で、縁頭と口金の、菊と蘭、鐺の竹、小柄の梅は四君子と呼ばれる草花図で清々しく、しかもそれら全て木彫(注)という凝りよう。内外とも実に得難い逸品である。

注:木彫金具の拵といえば、江戸時代後期、備前岡山で活躍した名手逸見義隆が想起される。

短刀 無銘 平戸左短刀 無銘 平戸左短刀 無銘 平戸左 白鞘

 

黒漆塗一分刻鞘合口拵 短刀 無銘 平戸左黒漆塗一分刻鞘合口拵 短刀 無銘 平戸左

 

短刀 無銘 平戸左 刀身差表 切先短刀 無銘 平戸左 刀身差裏切先


秋草図一重ハバキ 銘 細野惣左衛門政守花押(短刀 無銘 平戸左ハバキ)秋草図一重ハバキ 銘 細野惣左衛門政守花押(短刀 無銘 平戸左ハバキ)秋草図一重ハバキ 銘 細野惣左衛門政守花押(短刀 無銘 平戸左ハバキ)