銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之
天保乙未八月七日公親閲諸臣藝正次新命刀奏
技交刃数百不毀不撓予愛其精錬因為佩刀正次記

Katana
Sig. Koyama Mutsu no suke Fujiwara no HIROMOTO
Waga han Noda Jozaemon Masatsugu no tameni kore wo seisu
Tenpo Kinoto hitsuji 8 gatsu 7ka(nanoka) Ko shoshin no gei wo shinetsushi Masatsugu shinmei no katana nite waza wo soshi yaiba wo majierukoto suhyaku koborezu tawamazu yo sono seiren wo aishi haito to nasu Masatsugu shirusu


陸奥国 天保 百八十七年前 五十八歳作

刃長 二尺二寸
反り 四分六厘
元幅 九分五厘
先幅 六分
棟重ね 二分五厘
鎬重ね 二分六厘

金着二重ハバキ 白鞘付

本阿弥光遜師鞘書

茶変り塗鞘打刀拵入
拵全長 三尺四寸九分
柄長 八寸強

令和三年東京都登録

特別保存刀剣鑑定書 

Mutsu province
Tenpo 6 (A.D.1835, late Edo period)
187 years ago, Work at his 58 years old

Hacho (Edge length) 66.6cm
Sori (Curvature) approx. 1.3cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx. 2.8㎝
Saki-haba (Width at Kissaki) approx. 1.8cm
Kasane (Thickness) approx.0.7㎝

Gold foil double Habaki
Calligraphy on the Shirasaya, written by Master Honami Koson

Cha kawari nuri saya, uchigatana koshirae
Whole length approx. 105.7cm
Hilt length approx. 24.2cm

Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK

 陸奥介弘元は、安政七年陸奥国二本松藩の鉄炮鍛冶久四郎の次男として生まれ、名を古山東蔵という。二十歳の時に仙台國包十一代に師事し、文化二年江戸に出、水心子正秀門で修業。文政頃に帰国して二本松藩工となる。江戸ではエレキテルを製作した平賀源内を友とし、また洋学者の司馬江漢とも交流したように、探求の志を以て「斬伐の用」に足る利刀(注①)鍛造に邁進した。
 この刀は、天保六年八月七日に二本松藩九代藩主丹羽長富公の御前で行われた武芸披露で、野田(注②)丈左衛門正次が激しく打ち合って刃毀れも撓みもしなかったという弘元面目躍如の一刀。鎬筋が立って鎬幅広く、輪反りが付いて大和古作を想わせる姿で、区上一寸程に生ぶ刃が残された、研数も少ない健全体。國包譲りの保昌伝の地鉄は柾肌に沿って小粒の地沸が流れ、鉄色明るく精美。直刃の刃文は微かに小互の目を交えて浅く湾れ、銀砂のような小沸で刃縁明るく、湯走り、打ちのけ、細かな金線、砂流しが掛かり、処々二重刃、喰違刃となり、帽子は掃き掛けて焼詰めごころに浅く返るなど大和伝への意識は明らか。弘元独特の逆筋違鑢の茎は保存状態が良好で、銘字の書体が謹直。将軍家への氷(こおり)餅(もち注③)献上を奉行として担い、また優れた剣士でもあった野田正次が全幅の信頼を置いた一刀。松鶴図縁頭と亀図目貫が付された簡素な拵に収められている。

注①「乳割土壇拂後藤為右エ門」の截断銘入の文政十二年八月日の刀(『古今鍛冶備考』巻七)がある。

注②野田家の祖先は戦国武将蒲生氏郷の家臣で「功誠に無双」と長谷部国重の槍を拝領した政勝。正勝の子の代に丹羽家の臣となる。

注③餅を水に浸し凍らせて作る特産品。三月と五月に将軍・老中・若年寄に献上された。

刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日 白鞘 本阿弥光遜鞘書

 

茶変り塗鞘打刀拵 刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日茶変り塗鞘打刀拵 刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日

 

刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日 刀身差表 切先刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日 刀身差表中央刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日 刀身差表ハバキ上

刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日 刀身差裏切先刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日 刀身差裏中央刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日 差裏ハバキ上

 


刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日ハバキ

刀 銘 古山陸奥介藤原弘元 為吾藩野田丈左衛門正次制之 天保乙未八月七日ハバキ