刃長 八寸二分一厘
内反り僅少
元幅 八分
重ね 一分八厘
彫刻 表裏 腰樋
銀着一重ハバキ 白鞘付
黒変り塗鞘合口短刀拵入
拵全長 一尺三寸三分
柄長 三寸六分三厘
平成十二年三重県登録
保存刀剣鑑定書(年代延徳頃)
Hacho (Edge length) 24.9cm
A little curved go to inner (Uchi-zori)
Moto-haba (Width at Ha-machi) 2.42㎝
Kasane (Thickness) 0.55㎝
Engraving: "Koshi-hi" on the both sides
Silver foil single Habaki / Shirasaya
Kuro kawari nuri saya,
aikuchi tanto koshirae
Whole length 40.3cm
Hilt length 11cm
Hozon certificate by NBTHK (Entoku era)
宇多勝國は室町時代中期、延徳頃の越中国の刀工。宇多派の祖は大和国宇陀郡から来住したと伝える國光入道に始まり、以後、國房、國宗、國久などの優工が活躍。大和伝に相州伝を加味した作風を得意とし、同国守護畠山氏の勇士の需に応えた。
この短刀は大和當麻鍛冶にも見られる冠落造。身幅重ねしっかりとし、僅かに内反りつき、腰樋が掻かれ、その上の鎬地の肉が削ぎ落されて鎬筋立ち、端正で美しい姿。地鉄は板目肌の刃寄りに柾を配し、地景太く入り、地底から湧き立った地沸が厚く付いて肌潤い、沸映りが立つ。刃文は直刃に浅い湾れを交え、小沸ついて刃縁明るく刃中も澄み、刃境に喰違、打ちのけ、湯走り、小形の金線が繊細にかかり、まさに本国大和を彷彿とさせる出来。帽子も掃き掛けて大和風が顕わで、横に展開して長めに返り、棟を焼き下げる。総体の出来は大和本国、就中、手掻を想わせる見事な仕上がり。 付帯する黒藻草模様塗鞘の拵は、樋定規に下がり藤紋の目貫が付されて格調高く、小柄は鹿角に払子の図。鹿は禄に、払子は欲すに通じて「(家)禄を欲す」と読まれ、今は遠い江戸人の想いが伝わり、愛着も一入である。 。