銘 備州尾道住五阿弥貞信
明應八年二月日

Katana
Sig. Bishu Onomichi ju Goami SADANOBU
Meio 8 nen 2 gatsujitsu


備後国 明応 五百二十年前

刃長 二尺一寸一分二厘
反り 六分五厘
元幅 一寸
先幅 六分七厘
棟重ね 一分九厘
鎬重ね 二分一厘

金着一重ハバキ 白鞘入

昭和二十六年東京都登録
特別保存刀剣鑑定書

八十五万円(消費税込)

Bicchu province
Meio 8 (A.D. 1499, late Muromachi period)
522 years ago

Hacho (Edge length) 64㎝
Curvature approx.1.97cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) approx.3.03㎝
Saki-haba (Width at Kissaki) approx. 2.03cm
Kasane (Thickness) approx.0.64㎝

Gold foil single Habaki / Shirasaya


Tokubetsu-hozon certificate by NBTHK
Price 850,000JPY

 備後の守護大名山名常熈の居館が置かれて政治経済の中心地として賑わった尾道には、室町中期に五阿弥貞信が鍛冶場を構えている。辰房、五阿弥の工銘は、古刹浄土寺や足利尊氏有縁の光明寺をはじめとする尾道の寺社との縁(注②)を想起させ、彼らの鍛刀活動の背景への興味を強く抱かせるものである。
 この刀は身幅広く、鎬地の肉が削がれて鎬筋が強く張り、腰反りの付いた姿に先反りが加わった中鋒の精悍な造り込みでありながらも茎の手持ちが良く、素早く抜き放って片手で用いるのに適した、まさに戦国武将好みの一刀。地鉄は良く詰んだ板目に揺れるような小杢を交えて縮緬状に肌目が奇麗に起ち、肌目に沿って地景が密に入り組み、地沸が厚く付いて光を強く反射し、粘り気のある肌合いとなる。小沸が付き匂口締まって明るい中直刃の刃文は、刃境が小模様に乱れ、湯走りが掛かり、一部喰い違いごころとなり、備中青江物のような小足が無数に入り、刃中には細かな沸の粒子が充満して澄む。焼を充分に残した帽子は沸付き、掃き掛けて小丸に返る。中程がやや張って先の細い茎形には個性的な鑚使いで銘字と年紀が入念に刻されている。五阿弥派の祖貞信の貴重な遺作(注②)で、隣国備中の青江、備前の忠光、清光等を想わせる、出来の優れた一口である。

注①…五阿弥の呼び名は、時宗の他阿弥真教が尾道に来た時、小刀を献じた備後鍛冶が、この法名を拝受したことに因むといい(福永酔剣先生『日本刀大百科事典』)、僧門との関係が窺われる。

注②…『日本刀大鑑古刀篇三』に「備州尾道住五阿弥貞信」の明應九年八月吉日紀の作がある。

刀 銘 備州尾道住五阿弥貞信 明應八年二月日刀 銘 備州尾道住五阿弥貞信 明應八年二月日刀 銘 備州尾道住五阿弥貞信 明應八年二月日 白鞘

刀 銘 備州尾道住五阿弥貞信 明應八年二月日 差表中央刀 銘 備州尾道住五阿弥貞信 明應八年二月日 差表中央刀 銘 備州尾道住五阿弥貞信 明應八年二月日 差表ハバキ上

刀 銘 備州尾道住五阿弥貞信 明應八年二月日 差裏切先刀 銘 備州尾道住五阿弥貞信 明應八年二月日 差裏中央刀 銘 備州尾道住五阿弥貞信 明應八年二月日 差裏ハバキ上

 

刀 銘 備州尾道住五阿弥貞信 明應八年二月日 ハバキ

貞信押形