獅子図三所物 |
江戸時代後期 武蔵国江戸神田住 |
合計九疋の獅子が群れ遊ぶ三所物。表目貫には、宗珉作に見られる、喉元を見せて仰のいた獅子。よく見れば小さな巻毛の塊に飛びつかれている。「痛っ!」という声が聞こえてきそうである。もう一方は、はしゃぐ子獅子を押さえる親獅子の図。何とも微笑ましい。小柄、笄は、粒の揃った微細な赤銅魚子地に奥行きのある立体的な金紋を据え、その口元にはくっきりと三角鏨が刻されている。笄の二疋の、間合いをはかっているかのような配置と目線が面白い。英美は横谷英精の門人。横谷流を踏襲した獅子図を得意とし、花押も横谷式である。明るく鮮やかな金色が漆黒の赤銅魚子地に映える豪華な三所物である。 |
↑小柄金紋部分拡大:口元に三角鏨が刻されています。 |
↑笄部分金紋:互いに直ぐに逃げ出せる距離を保っているようです。 |
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