史記 鴻門の会・樊噲図鍔(鐔)
印銘 常重

江戸時代中期 江戸神田住

真鍮石目地撫角形鋤出高彫
金銀色絵
縦:72mm 横:67.3mm
切羽台厚さ:5.5mm
耳際厚さ:4.9mm
特製桐箱入

保存刀装具鑑定書
ご成約を賜りました

 常重は奈良重次の門人で奈良利重の孫弟子。真鍮石目地撫角形の鐔に和漢の人物図を彫るを得意とした。鴻門の会で謀殺されようとしている劉邦を助け出そうと駆けつける樊噲を描いた本作が正に常重の真骨頂である。明るい真鍮地の全面に細かく石目を打ち施し、帳には雲龍を片切彫りと毛彫で描く。盾を抱きかかえて駆け付けた樊噲は耳から裏面にかけても展開する緻密な描写の鋤出高彫。秀でた額の奥の眼光鋭い眼差し、高い頬とそこからそよぐように広がる髭は繊細な毛彫。奥行きのある高彫は要所に金銀の色絵を配し、衣や毛沓それぞれの質感を的確に表している。単なる情景描写ではなく、誠実で豪胆な樊噲の人柄をも活き活きと彫描いている。同作中の傑出作と言い得る。
史記より 鴻門の会・樊噲図鍔(鐔)印銘 常重

史記より 鴻門の会・樊噲図鍔(鐔)印銘 常重

史記より 鴻門の会・樊噲図鍔(鐔)印銘 常重

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