鉄拐仙人図鍔(鐔)
無銘 海野派

江戸時代後期

鉄地竪丸形高彫象嵌色絵打返
縦:75.2mm 横:69.4mm
切羽台厚さ:3.7mm
耳際厚さ:3.2mm
特製桐箱入

保存刀装具鑑定書(無銘 海野派)

 奇怪な風体で自分の魂を飛ばすことができる鉄拐仙人。元は美男だったという説を裏付けるかのように本作では飛んで行った魂の方は冠を被った貴人、鉄拐本来の姿をしている。(こうなってしまった経緯を要約すると、自らの魂を体から離して飛ばすことのできる鉄拐が、いざ自分の体に戻ろうとするとそれは既に焼かれてしまっていて戻ることができない。仕方なく近くにあった浮浪者の死体に入ったので、以来鉄拐は怪異な姿になってしまった、というなんともスペクタクルなお話なのだが、出たり入ったりできる魂なら、その後もう少し見栄えの良い死体に入ってもよかったのに、といらぬお節介を想ってしまう)海野派と極められた本作。人物の描写に殊更に秀でていた海野勝aを彷彿させる際端が絞られた立体的で写実的な高彫。手指の一本一本にも表情があり、引き締まった筋肉質の四肢、衣の質感、目線、いずれも優れた描写で生命感にあふれている。裏面の松樹の彫法は夏雄に似ており、これほどの名作が何ゆえに無銘で世に出されたのであろうか。
鉄拐仙人図鍔(鐔) 無銘 海野派

鉄拐仙人図鍔(鐔) 無銘 海野派

鉄拐仙人図鍔(鐔) 無銘 海野派

鉄拐仙人図鍔(鐔) 無銘 海野派

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