布袋唐子図鍔(鐔)
銘 遊洛斎花押赤文

江戸時代後期
出羽国庄内住

鉄槌目地撫角障泥形高彫象嵌色絵
縦:66.9mm 横:63.2mm
切羽台厚さ:3.8mm
耳際厚さ:4.5mm
特製桐箱入

特別保存刀装具鑑定書
ご成約を賜りました

 龍や虎、鶴、熊、イモリ、百合や竹など動植物を生き生きと彫り描いた庄内の名工遊洛斎赤文の人物を画題とした珍しい作である。撫角を障泥形に仕立てた鉄地は、土手耳風に穏やかに盛り上がった耳と相俟って、包み込むような安定感のある趣。鐔そのものが布袋のようだ。中国唐代の実在した禅僧がモデルと伝えられる布袋は弥勒菩薩の化身として信仰され、その福々しい姿から禅画の好画題となった。唐子と共に描かれるのはどうやら我が国においてのみのようだ。鉄地に朧銀と赤銅を高彫象嵌した布袋と唐子は、思わずつられそうな笑顔で鑑賞者の気持ちを和らげる。豊かな肉置きで立体感のある高彫は手指や足先まで詳細に描写され、衣の質感まで伝わりくる。常に見る赤文独特のタッチとは趣を異にし、私淑する郷土の巨匠安親に見られるヒューマニズム溢れる情景を心に秘めて制作したのではなかろうか。赤文は、その作風から浜野派との関連を推測されているが、遊洛斎の号が示す通り京にも遊学したのであろう。円山・四条派の作品に触れ、大月派の金工を訪ねたこともあったかもしれない。文政七年庄内藩酒井家の抱工となっている。因みにその際の試験は安親の蟻通図鐔の写し物を作ることだったという。
布袋唐子図鍔(鍔) 銘 遊洛斎花押赤文

布袋唐子図鍔(鍔) 銘 遊洛斎花押赤文

布袋唐子図鍔(鍔) 銘 遊洛斎花押赤文

布袋唐子図鍔(鍔) 銘 遊洛斎花押赤文

布袋唐子図鍔(鍔) 銘 遊洛斎花押赤文

布袋唐子図鍔(鍔) 銘 遊洛斎花押赤文

布袋唐子図鍔(鍔) 銘 遊洛斎花押赤文

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