芦雁図鍔(鐔)
銘 渡辺一誠利信花押

江戸時代後期─明治時代初期
陸奥国岩代

鉄地竪丸形高彫据紋象嵌色絵
打返耳
縦:75mm 横:70.8mm
切羽台厚さ:3mm
耳際厚さ:5mm
特製桐箱入

特別保存刀装具鑑定書
ご成約を賜りました

 「雁渡る」、大陸の北方で繁殖した雁は秋に日本に渡って来て各地の湖沼で冬を越す。古来より歌に詠まれ、絵にも描かれた風物詩である。一乗一派独特の抑揚のある細い打ち返し耳で縁取られた鉄地は撫角に近い安定感のある竪丸形。画面左上には片翼を縮めて急降下する一羽の金色の雁。真直ぐに伸びた緊張感のある首の線が美しい。立体的な高彫に的確で詳細な羽毛の描写、一点を目指す力強い目が印象的である。芦原には既に無数の足跡が残されている。裏側には連なって水辺を目指す群と水面に映る月。鐔の表裏で奥行きを演出する優れた画面構成である。渡辺一誠は、はじめ会津金工林正光に学び、後に江戸で船田一琴の門人となった。三十八才で独立し会津若松で開業。晩年には利信と名乗っている。名鑑にある「渡辺一誠利信花押と銘した鐔がある」は本作であろうか。一誠の貴重な晩年作である。
芦雁図鍔(鐔) 銘 渡辺一誠利信花押

芦雁図鍔(鐔) 銘 渡辺一誠利信花押

芦雁図鍔(鐔) 銘 渡辺一誠利信花押

芦雁図鍔(鐔) 銘 渡辺一誠利信花押

芦雁図鍔(鐔) 銘 渡辺一誠利信花押

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