高砂図縁頭
銘 猩々夫 岩本昆壽花押

江戸時代後期 武蔵国江戸麹町

赤銅石目地高彫据紋象嵌色絵
頭:33.9mm 縁:38.5mm
縁の腰高:14mm
特製桐箱入

特別保存刀装具鑑定書

 播磨国高砂の浦の松と遠く離れた摂津国住吉の浦の住の江の松は「相生の松」。「高砂やこの浦舟に帆を上げて」という祝言歌は、誰しも耳にしたことがある一節であろう。世阿弥作の「高砂」は、夫婦愛と長寿を寿ぐ明るく清らかで気品ある能で、装剣小道具の好画題である。高砂の浦から住の江の浦へと場面が変わる物語を、頭には高砂の松を掃き清める老姥、縁は煌々と輝く月の下で舞い踊る老翁を配した巧みな構成。岩本昆寛の門人中最もよく昆寛の作風と技術を受け継いだ巧者といわれている昆壽。人物の描写は内部にしっかりとした骨格を感じさせる。また、主役である老翁の顔は師である昆寛の作風を受け継ぎ、写生に基づいた詳細で丁寧な仕事ぶりは手指や衣の布の質感にも表れている。色金を効果的に演出する洗練された感性も素晴らしい。
高砂図縁頭 銘 猩々夫 岩本昆壽花押

高砂図縁頭 銘 猩々夫 岩本昆壽花押

高砂図縁頭 銘 猩々夫岩本昆壽花押

高砂図縁頭 銘 岩本昆壽花押

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