布袋図小柄
銘 後藤廉乗花押

江戸時代前期─中期
武蔵国江戸

赤銅魚子地高彫色絵
長さ:97mm 幅:14.5mm
特製桐箱入

特別保存刀装具鑑定書

 後藤宗家十代廉乗は、天和三年(1683年)剃髪して法体となり廉乗と名乗る。(よって廉乗自身銘の本作は、天和三年以降の作である。)廉乗魚子と称される特徴ある魚子地の中央に彫描かれたのは、「しどけない」と形容したくなるようなリラックスした布袋。大きな袋にもたれかかり衣の前をはだけた布袋のぽよんとしたお腹の肉付きに写実味がある。頬杖をついて月を眺めているのだろうか、口角を上げて微笑む顔は端正で美しい。手指の一本一本の描写も丁寧である。衣は赤銅に金色絵の楓文、大きな金色絵の袋には笹竜胆紋が彫られている。廉乗の代、後藤宗家は幕命により住み慣れた京都を離れ江戸に定住することとなった。後藤家は次代の通乗から町彫りの影響を受けて作風にも変化がみられるというが、その萌芽は廉乗から既にあったのであろう。時代の流れを敏感に感じ、新たな作風を模索しつつも決して品格を失わない。柔和な雰囲気の作品だが、後藤宗家の底力を感じさせる。
布袋図小柄 銘 後藤廉乗花押

布袋図小柄 銘 後藤廉乗花押

布袋図小柄 銘 後藤廉乗花押

布袋図小柄 銘 後藤廉乗花押

布袋図小柄 銘 後藤廉乗花押

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