寒山拾得図二所 |
江戸時代前期 笄 |
本作は後藤宗家十六代光晃が九代程乗の作であると極めたもの。程乗は宗家の家督を十代廉乗に譲った後、加賀前田家にも仕え加賀金工の指導にもあたった。優れた金工であるばかりでなく、律儀で温厚な人柄ゆえ藩主前田利常の厚遇を得、そのことを程乗自身も深く感謝していた。金沢の兼六園内の茶室「夕顔亭」には程乗作と伝えられる伯牙断琴図の手水鉢がある。 寒山、拾得は中国唐代の僧。寒山は文殊菩薩の、拾得は普賢菩薩の化身とも伝えられている。絵風の画面は背景も細かく彫描かれ、金銀色絵を効果的に使って色彩も豊か。水の流れを赤銅魚子地に二筋の銀色絵のみで表すなど抑制を効かせメリハリがある。松の木の下でどんな話をしているのか、目線や顔の表情だけでなく、手指のジェスチャーも気になる所だ。小柄は縁際いっぱいに人物が配されているので、今にもこちらに歩き出してきそうな趣。 |
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