ka 45 菊花透鐔 無銘 古金工
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ka 44 藻貝図小柄 無銘 古金工
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ka 43 桐・七星亀甲文散
無銘 鏡師
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ka 43 傾いだ笄櫃の形状から室町時代の鏡師と極められる作品。磨滅の程度によって微妙に山銅の色に変化があり、所々山吹色が表れている。この部分は粗見すると金色絵あるいは金象嵌が施されているように錯覚するのだが、実際は黄銅に近い山銅(やまがね)の色が露出しての色彩変化である。 加えて、両櫃穴を注意深く観察すると櫃の周囲に小縁が設けられており、小柄・笄櫃が共に生ぶの穴であると推考される。図柄は桐紋と亀甲文、七星などの吉祥文をバランスよく布置し、五三の桐紋の蕾など山高い部分には手擦れで地金の金色が程よく、且つ自然に表出しており、ここに磨滅による色金の変化をデザインとして活用するという本作の製作者の意図が秘められているようにも思える。決して高価ではないが、魅力の高い鐔として推奨したい。 |
ka 41 極薄手の鍛鉄を用いて製作された刀匠鐔。刀匠鐔は太刀の差し添えとして用いられた腰刀が戦陣での使用を目途として次第に長くなり、最終的に打刀へと変化する過程で発生、普及したもので、古色ある鉄の風合いと簡明さを最大の魅力としている。本作は切付銘にて百四上との銘文が刻された作品。おそらく城備えとされた打刀拵に装着されていた作であろう。煮詰めたような黒化した鉄錆が独特の光沢を持ち、掌に小気味の良い重さを感じさせる軽妙さはいかにも機能性に富んでいる。古色が深いことから古刀匠に紛れる作として推奨したい。 | |
ka 41 唐草図鐔 無銘 古金工
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ka 41 時代の上がる山銅地独特のとろっとした光沢に包まれた古金工鐔。唐草を構成する二本の細線は僅かな歪みを内包していることから、規格化された下絵などは用いずに施刻されたものであろう。唐草は滑らかな直線部分と鑚圧強く打ち廻された曲線部分から成り、彫口は伸び伸びとして鐔面に絶妙の軌跡を描いて洗練味があり、唐草の内より発露する生命の輝きを見事に捉えている。彫口に鑚の勢いというものを実感できる作品である。 |
ka 40 群れ咲く植物に題を得た古金工の鐔では秋草図が多い。ところがこの鐔は主体である秋草に加えて早春の野を彩る蘭と庭先の雪中に佇む南天を描き、画題の持つ意味に奥行を感じさせている。漆黒の赤銅地を独特の肉取りからなる高彫に仕立て、花と葉の要所に厚手にして濃密な色合いを呈する金色絵を施し、植物が持つ特徴を繊細で巧みな鏨の切り込みで表現している。耳にも縄目状の金覆輪を廻らせ、拵に掛けた際の美観を高める効果を持たせている。
注…わずかに剥がれている部分から、古式のうっとり色絵に通じる厚手の金を被せていることが判る。 |
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ka 39 無銘 太刀師
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ka 39 緋色に輝く鮮やかな素胴地(すあかじ)と各所に点在する緑青の侘びた錆び色が強烈なコントラストとなって目に飛び込んでくる。古来より桐や菊花文は太刀金具に多く用いられたもので、本作にも三枚貼りあわせによる文様の打ち出し技法にその特徴を見ることが出来る。図柄は古典的な雲珠文(うんじゅもん)、五三桐紋、菊花紋をそれぞれ表裏に十六箇所配し、地には花形の地文を密に打ち施しており、耳の蛇腹状に打ち出した銀覆輪に五三桐紋を廻らせている点共々、製作は極めて入念である。加えて、太刀師ならではの長覆輪などに見る金属の圧着技術は流石に上手で、ピクリとも動かない本作の銀覆輪の精巧さには驚くばかりである。 |
ka 38 古金工の作中でも、様々な文様を組み合わせて鐔面に配した、高い美意識が感じられる鐔。円形に十字糸巻木瓜形の構成を表裏違えるところも創造的。 赤銅地を鋤き込んで表現手法は高彫のみ。耳際に波状の文様を廻らして小さな円文を打ち加え、木瓜形に沿って葉、露、縄目などを連続させ、割胡桃、梅花、立葵、五葉花、無花果の実であろうか、これに蜂と蝶を加えている。如何なる意味を秘めているのであろうか、魅力横溢の作である。 |
ka 37 ねっとりとした山銅地に「地透かし」と「文様透かし」の二種類の透かし手法を用いて車と荒波を表した作品。鐔下部は水面に折り重なる波を山銅の素材を生かして彫り上げ、鐔上部には車輪を力強く地透かししている。 面白いのは左右に文様透かしで表現された立浪の姿で、波頭を大きく上に伸ばした波(左)と波頭を低く、水を巻き上げながら迫る波(右)を巧みに表現している。 |
ka 36 障泥形の地面に渦巻くような波文を彫り込み、金銀の飛沫を要所に散して大河を表現、酢漿草紋(かたばみもん)の小透を切り施している。土手耳風の耳際に菊花状の文様を加え、古くからある菊水の意匠を求めたものであろうか、あるいは陽の光を受けて眩く輝く水辺を意匠したものであろうか、古風な中に洒落た風情の漂う作となっている。古作に間々見られる地板被覆の技法で製作しているもので、耳には古式の可動式赤銅覆輪を廻らしている。 |
ka 35 山銅地の加工に長じた鐔工の手になる古金工鐔。90oを超える堂々たる大鐔ながら、不思議なことに仰々しい威圧感はなく、むしろ、しっとりとして落ち着いた佇まいを見せている。 特徴的なのは尾張鐔や金山鐔にも見る、耳際を厚手に切羽台部分を薄く造り込む手法で、桃山以前の実用の時代相を強く伺わせる。注意してみると茎穴の周囲に僅かに切羽の装着痕が残っている(写真2)。驚くのはその寸法で天地で46mm(通常の切羽の天地は40o前後のものが多い)にも及んでいる。切羽の大きさと茎穴から推察すれば、元来は長大にして豪壮な刀に掛けられていた鐔であろう。 釉薬を思わせる艶やかな山銅(やまがね)の風合いや菊花の透かし際に残る漆の跡にも雅趣があり見るほどにその魅力に引き込まれる。 |
cka 34 葡萄に栗鼠図古笄 無銘 古金工
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ka 34 長大な太刀に附されていたのであろうか、江戸時代の笄とはおよそ趣の異なる頑強な古笄の遺例。耳掻き部分の幅は広く、肩が張って、耳掻きの折り曲げは定規を当てたかのような鋭い直線状となっている。図柄は葡萄に栗鼠(武道に立す)図とし、地板をそのまま彫り下げて、中央部分を肉高く表している。魚子の蒔き方は素朴ながら鑚の打ち込みに力があり、文様の高さに保護されて、魚子の摩滅がほとんど見られないのも喜ばしい。豪快な彫口や画題から見て、屈強な鎧武者の需に応じてのものであろう。武士(もののふ)の気骨を感じる作品である。 |
ka 33 山銅槌目文図鐔 無銘 古金工
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ka 33 作品の表面に凹凸を表し、文様として楽しむ趣向は刀装具に限らず、仏具や古鏡、花器や茶器、あるいは古代の土器に至まで様々な芸術作品にみられる。分けても、槌目地仕立ては最も原始的かつ広範に用いられる文様手法の一つであろう。槌の打ち込みにより小指の先ほどの大きさの楕円形が鐔全面に施され、この打ち込み痕を敢えて文様として活かしたところに素朴な味わいがある。さらにその槌目の上には日々の使用によって生じた自然の当たりが景色となって表れている。時の経過による山銅の深い色合いとそれぞれの時代の所有者が残した痕跡が数百年という歳月を経て、渾然一体となっている。 |
cka 32 素銅地(すあかじ)か山銅地(やまがねじ)か俄かには判断に窮する程の古色に覆われた古金工鐔。やや赤味を帯びた渋い色合いは耳際から1cm程内側の部分でより鮮明となっている。十数世代に亘って人の手による日常の摩滅を受け止めてきた故の風合いであろう。 |
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ka 31 古金工と極められた山銅地(やまがねじ)の菊花透図鐔。山銅地とは精錬技術が未発達の古い時代鐔に用いられた非鉄金属のことで、後代の純度の高い銅に比べて、不純物を多く含くみ、経年変化による色彩に独特の深味を生ずることから愛好家の好むところとなっている。
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ka 30 牡丹獅子図鐔 無銘 古金工 桃山時代 |
a30 赤銅地と金彩色の対比が鮮やかな、古様式になる彫金技法が魅力の古金工鐔。漆黒の赤銅地をわずかに縦長の丸形に造り込み、「百花の王たる牡丹」と「百獣の王たる獅子」を高彫金色絵で表している。金色絵が施された獅子と牡丹は地板に直接施刻されたもので、一度の失敗も許されない繊細な作業の積み重ねによって王者の風格が彫り出されている。図柄は後藤家に倣ったものながら古典の美意識を伝え、桃山時代を特徴付ける華やかな装飾。見どころは桶底風の覆輪で、環状の赤銅を嵌め込み、僅かながらながら動くように作られている。
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古金工 桃山時代以前の製作で、後藤系、美濃彫系、太刀師系など特徴が顕著に現われた金具以外の、系統が不明な作品は古金工と分類されている。ところが古金工の呼称の意味合いが不明確であり、また、古金工に分類されている作品の中にも美濃彫に極めて近い作品、後藤に紛れるような作品、太刀金具様式の作品などが含まれており、現在の古金工という分類方法では解り難いというのが現実である。 幾つかの古金工と極められた作品を紹介したが、このように眺めると古金工の中にも大きな流れがあることが理解できる。いずれも時代の要求に応じた実用の武器を装飾するものであるが、同時に、時代の変遷に伴ってより洗練された作品へと変化していることも解かる。もちろん洗練美が全てではない。時代性を良く反映しているところに視点を置きたい。 日本刀専門店「銀座長州屋」では通販だけでなく、店頭での販売も行っております。取り扱い商品(日本刀・真剣・鍔・目貫・縁頭・小柄・笄・甲胄・兜等) |
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