太刀
無銘 長舩経家

Tachi
no sign
Osafune Tsuneie


備前国 永享頃 約五百八十年前

刃長 二尺三寸八分 Edge length; 72.1cm
反り 九分二厘 Sori (Curveture); 2.8cm
元幅 一寸三厘 Moto-haba(Width at Ha-machi); 3.12cm
先幅 六分六厘 Saki-haba(Width at Kissaki); 2.02cm
棟重ね 二分二厘
鎬重ね 二分五厘強 Kasane (Thickness); 0.75cm
金着二重ハバキ 白鞘入

平成十六年千葉県登録



保存刀剣鑑定書(長舩経家)
Hozon certificate by NBTHK (Osafune Tsuneie)


  経家には、室町時代前期の応永頃から永享頃、さらに時代が降って宝徳、寛正、長享頃を活躍期とした工など同銘数代がある名流。時代の要求により、抜刀に適した片手打ちの寸法のものが多く残されている。系流は畠田派と伝え、作行は応永備前風。杢目を交えた綺麗な地鉄に映りが立ち、殊に腰の開いた互の目に小丁子を伴う刃文構成は康光に似るとされている。
 この太刀は、康光に並んで応永備前の最高峰に位置する盛光に紛れる出来。拵に合わせたものであろう茎が仕立て直されているが、生ぶの姿を留めて反り深く、先反りが加わって姿に張りがある。元幅広く鎬高く堂々とし、中鋒延びごころの姿に力が感じられる。地鉄は板目に応永杢とも呼び得る地景によって際立った杢目を交え、肌目に沿って細かな地沸が付き、それらの肌間が小板目風に微塵に詰み、さらに乱れて抑揚の付いた映りが働く。刃文は区上が焼の低い小互の目丁子から始まり、腰の開いた互の目に小丁子交じりへと移り変わり、この焼頭が丁子で割れたように乱れて尖りごころとなり、帽子も激しく乱れ込んでいる。匂口柔らか味のある焼刃は明るく冴え、匂に満ちた刃中には長短の足、葉、飛足が盛んに入って小乱調になり、刃境のほつれから始まる細く長い金線を伴う匂の砂流しが掛かり、佩裏はさらに沸筋や匂の筋となって激しさが際立つ。焼頭から地中に流れ込むような映りの働きも顕著で、能動的な地刃の景色が楽しめる作となっている。

太刀 無銘 長舩経家太刀 無銘 長舩経家太刀 無銘 長舩経家 白鞘

太刀 無銘 長舩経家 切先表太刀 無銘 長舩経家 中央表太刀 無銘 長舩経家 ハバキ上表


太刀 無銘 長舩経家 切先裏太刀 無銘 長舩経家 中央裏太刀 無銘 長舩経家 区上差裏

太刀 無銘 長舩経家 ハバキ




経家押形
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