短刀
銘 作州津山住兼先
慶長十八年八月日

Tanto
Signed. Sakushu Tsuyama ju KANESAKI
Keicho 18 nen 8 gatsujitsu

美作国 慶長十八

刃長 九寸八分六厘
反り僅少
元幅 九分七厘
重ね 二分二厘

金着二重ハバキ 白鞘付

茶漆塗鞘小さ刀拵入
 拵全長 一尺五寸七分
 柄長 三寸七分

昭和四十七年東京都登録

特別保存刀剣

(Item number: 1762)
Mimasaka province
A.D.1613
(Keicho 18, Durnig the Edo period, under the rule of the 2nd shogun, Tokugawa Hidetada)

Hacho (Edge length) : 29.88 cm
A little curvature
Moto-haba (Width at Ha-machi) : Approx. 2.94 cm
Kasane (Thickness) : Approx. 0.67 cm

Gold-foiled double habaki
Shirasaya

Cha urushi nurisaya, chisa-gatana koshirae
 Whole length : Approx. 47.57 cm
 Hilt length : Approx. 11.21 cm

Tokubetsu-Hozon

 徳川家康は関ケ原の戦いに勝利し、味方となった大名衆に西国の領国を恩賞として与えた。美作国十八万石に配されたのは森忠政。信長の側近森蘭丸の実弟で、関ヶ原の戦いでは秀忠軍の一翼を担い、信州上田城の攻防でも大功績を上げた。忠政は津山城を築き、旧領美濃から刀工兼景と兼先を呼び寄せ、城下の鍛冶町で作刀させたのである。
 この短刀は作州兼先の最も時代の上がる作で、しかも大坂冬の陣を翌年に控えた慶長十八年八月日の貴重な年紀が刻された得難い一口(注)。寸法が延び、僅かに反ってふくらが充分についた量感のある姿。地鉄は板目に流れごころの肌を交え、太い地景が入り、粒立った地沸が付いて肌起ち、関映りがこれに働き掛かる凄みのある肌合い。直刃の刃文は、光の強い沸が厚く付いて匂口広く、刃境に湯走りが掛かり、ほつれごころ、喰い違いごころを交え、刃中は沸付いて明るい。帽子は焼深く、やや突き上げて長めに返る。茎には細かな檜垣鑢が掛けられ、堂々と刻された銘字に鑚枕が立つ。
 茶潤塗鞘小さ刀拵は、唐子図縁頭、薬玉図目貫で装われ、鞭に鐙図小柄が全体を引き締めている。豊臣と徳川の最終決戦を前にした森家の武将の覇気と緊張感が伝わり来る優品である。(商品番号1762)

注…津山市教育委員会発行『美作の刀工たち』には本作の二年後の慶長二十年二月日紀の作州住兼先の刀が載せられている。