肥前国 寛文九
刃長 二尺二寸四分四厘
反り 四分九厘
元幅 九分九厘
先幅 六分四厘
重ね 二分
金着二重ハバキ 白鞘入
『肥前刀大鑑』所載
昭和四十五年福岡県登録
特別保存
2,000,000 円
Hizen province
Kanbun 9 (A.D. 1669, early Edo period)
Hacho (Edge length) : 68cm
Sori (Curvature) : Approx. 1.48cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) : Approx. 3cm
Saki-haba (Width at Kissaki) : Approx. 1.94m
Kasane (Thickness) : Approx. 0.61cm
Gold foil double Habaki
Wooden case (Shirasaya)
Publishe in "Hizento Taikan"
Tokubetsu-Hozon
2,000,000 JPY
近江大掾忠廣は、武蔵大掾忠廣の嫡子で慶長十九年の生まれ。寛永九年に亡父の跡を継いで忠廣を襲名し、鍋島勝茂公より佐賀城下に賜った長瀬町に屋敷を構え、天性の技術に努力を積み重ね、さらに河内大掾正廣をはじめとする腕達者の工にも恵まれて繁栄し、寛永十八年七月二十二日に近江大掾を受領している。
表題の刀は寛文九年五十六歳の作。前年、嫡子陸奥守忠吉に子新三郎を授かった忠廣は、順風満帆充実の日々を送っていたと思われ、本作にもその安定振りが良く現れている。造り込みは、身幅重ね尋常に中間反りが頃合いに付いた伸びやかで洗練味の漂う姿。鎬地を細かな柾に、平地を良く詰んだ小杢交じりの小板目に鍛えた地鉄は、豊かに湧いた地沸で厚く覆われ、地斑ごころを交じえながらも肌合いが柔らかに整い、地景が躍動して肌目には力強さが満ちている。刃文は浅い湾れで、帽子はふくらに沿って小丸に上品に返る。刃縁に小沸が叢なく付き、清浄な匂が立ち込めて明るい刃中に小足が無数に入り、物打辺りが微かに飛足となる。僅かに勝手上がりの鑢で仕立てられた茎は艶がよく、恐らくは南蛮鐵も交じえたものであろう、原鋼の良質さを証している。
注①…初代肥前国忠吉。
注②…現佐賀市長瀬町。鐔工や鞘師も住んだ職人町。