朱銘 當麻國行
光遜(花押)

Katana:
shu-mei: Taima KUNIYUKI
Koson (Kao)

大和国 鎌倉後期正応頃

刃長 二尺三寸一分五厘
反り 四分六厘
元幅 一寸二厘
先幅 六分九厘
棟重ね 一分五厘
鎬重ね 二分五厘強
金着二重ハバキ 白鞘入


本阿弥光遜師鞘書(注1)

昭和三十四年福島県登録

重要刀剣(朱書當麻國行)
5,000,000 円

Yamato province
Sho'o era (A.D. 1288-1293, late Kamakura period)

Hacho (Edge length) : 70.1cm
Sori (Curvature) : Approx. 1.39cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) : Approx. 3.09cm
Saki-haba (Width at Kissaki) : Approx. 2.09cm
Kasane (Thickness) : Approx. 0.76cm

Gold foil double Habaki
Calligraphy on the wooden case (Shirasaya),
 written by Master Honami Koson

Juyo
(Written "Taima Kuniyuki" with vermilion lacquer
by Master Honami Koson)
5,000,000 JPY

 勝海舟と幕政を担った大久保一翁は、遺愛の當麻(たいま)の刀(重文)の茎に「ゆきふかき(雪深き)山もかすみ(霞み)てほのぼのとあけ行(ゆく)春のたきまちのそら(空)」(注2)と詠んだ。
 當麻派は鎌倉末期の國行(くにゆき)を初祖とし、友清、有俊、國清等の優工を輩出したが、遺作の殆どが無銘である。その鑑定の試金石たる國行の在銘作は、備後福山藩阿部家伝来の太刀(国宝)と藤田美術館蔵の小太刀(重要文化財)のみ。田野邉道宏先生によれば、この二振は喰違やほつれ等大和伝の働きが現れるも地肌に温潤味があり、山城物のような穏やかで味わい深い作風という(『日本刀五ヵ伝の旅大和伝編』)。
 表題の刀は當麻國行作と極めた本阿彌光遜(ほんあみ こうそん)師(注3)が、個銘を朱漆にて雄渾に認めた一振。大磨上ながら今尚身幅広く、棟重ね薄く鎬筋高く仕立てられた鎬幅の広い造り込みに大和物の特徴が現れ、鋒から茎先に至る軌跡は大円の一部を成すような輪反りの高い太刀の原姿を想わせる。地鉄は板目に杢、微かに柾を交えて深く錬れて詰み、地景が密に働き、地沸が厚く付いてしっとりと潤い、冴える。直刃調の刃文は浅く湾れ、刃縁に厚く付いた沸は新春の朝日に輝く雪を想わせ、刃境に湯走り、打ちのけ、小形の金線が掛かって二重刃ごころを呈し、匂の立ち込めた刃中は青味をおびて冴える。帽子は掃き掛けて僅かに返る。品格の高さと力強さを湛えた、大和當麻國行極めの傑作刀である。

注1 …代金子貮百五拾枚。
注2…「たきまち」は「たぎまぢ」。「たぎま」は當麻の地名の語源。當麻は現奈良県北西部の北葛城郡。
注3…大正・昭和の研師で鑑定家。『日本刀の掟と特徴』を著す。人間国宝永山光幹師はその弟子。