短刀
銘 雲州住兼常

Tanto: Signed. Unshu ju KANETSUNE

美濃国-出雲国 永禄頃

刃長 一尺五寸八分四厘
反り 三分九厘
元幅 九分九厘
先幅 八分八厘
棟重ね 二分六厘
鎬重ね 二分七厘
彫刻 表裏 腰樋・添樋

金着一重ハバキ 白鞘入

平成四年兵庫県登録

特別保存(時代室町後期)
700,000 円

Mino province - Izumo province
Eiroku era(A.D.1558-1569, late Muromachi period)

Hacho (Edge length): 48cm
Sori (Curvature): Approx. 1.18cm
Moto-haba (Width at Ha-machi): Approx. 3cm
Saki-haba (Width at Kissaki): Approx. 2.67cm
Kasane (Thickness): Approx. 0.82cm
Engraving: "Koshi-hi" with "Soe-hi" on the both sides

Gold foil single Habaki
Wooden case (Shirasaya)

Tokubetsu-Hozon
(Late Muromachi period)
700,000 JPY

 兼常は戦国期の美濃を代表する名流の一つ。技術の高さ、切れ味、操作性の良さで評価が高く、一門の工は諸国へ移住しており、永禄頃に出雲で活躍したのがこの兼常。出雲は月山富田城を拠点とした尼子義久の支配。これに毛利元就が挑んで永禄九年十一月に勝利している。しかしそれ以後も山名旧臣山中鹿介が出雲奪回を目指して戦いを続け、毛利方と熾烈な争いを展開した土地である。
 表題の脇差は雲州兼常の現存稀有の一振(注)。幅広で重ねが頗る厚く、腰樋の上の肉が削ぎ落されてなお手持ちがずしりと重く、鎬筋が立って鋒の大きく延びた頑健で鋭利な造り込み。美濃物特有の鷹ノ羽鑢が掛けられた茎は元来長く、長柄に装着して長刀(なぎなた)として打ち振るったもので、その威力は抜群。板目鍛えの地鉄は僅かに黒みを帯び、太い地景が蠢いて活力に満ち、地沸が厚く付き肌が締まる。互の目に丁子、尖りごころの刃、矢筈風の刃を交えた刃文は、元から先へ行って焼が高くなり、強く沸付いて刃縁が明るく、太い足が入り、小形の金線と砂流しが掛かり、刃中には匂が充満して焼刃も固く締まり、刃味の良さは明白。帽子は激しく乱れ込んで焼き詰める。茎は銘字が神妙に刻され、最終画が長い常の字も美濃兼常と同じ。戦国実戦武器の実情と美濃鍛冶の活動を伝えて頗る貴重。加えて出来が優れている。

注…『室町期美濃刀工の研究』の雲州住兼常の槍以外は兼常の出雲打を 殆ど見ない。尼子氏に恩義を感じ、運命を共にしたものであろうか。