平造脇差
銘 源式部丞信國
永享四年八月日(業物)

Hira-zukuri wakizashi
Signed.Minamoto no shikibu no jo NOBUKUNI
Eikyo 4 nen 8 gatsujitsu (Wazamono)

山城国 永享四

刃長 一尺三寸六分二厘
反り 二分五厘
元幅 一寸一分六厘
重ね 二分強
彫刻 表 棒樋丸止、三鈷柄剣
 裏 棒樋丸止、 梵字

金着二重ハバキ 白鞘入

昭和二十六年広島県登録

重要刀剣
5,800,000 円

Yamashiro province
Eikyo 4 (A.D.1432, early Muromachi period)

Hacho (Edge length): 41.3cm
Sori (Curvature): Approx. 0.76cm
Moto-haba (Width at Ha-machi): Approx. 3.51cm
Kasane (Thickness): Approx. 0.61cm
Engraving : "Bo-hi" maru-dome and "San ko tsuka ken" on the right face (Omote)
 "Bo-hi" maru-dome and "Bonji" on the back face (Ura)

Gold foil double Habaki
Wooden case (Shirasaya)

Juyo
5,800,000 JPY

 式部丞信國(しきぶのじょう のぶくに)は室町初期の山城国を代表する刀工。信國派は山城国来派の流れを汲む南北朝時代延文、貞治の工を初代とし、室町初期応永の左衛門尉、その子と伝える式部丞と続いており、山城伝の地鉄に相州伝の焼き入れ方法を採り入れた沸出来の見事な刃文と、巧みな刀身彫で高い評価を得ている。応永信國については、『古今銘盡』第三巻に「地色白く煙の立やうにうろめく色あり。大乱刃をも焼。のたれ乱をもやく。沸多し」とあるように、切れ味業物の評価だけではない沸映りの立つ変化に富んだ地鉄と焼の高い乱刃という、他に紛れぬ信國派の個性と魅力が特記されている。
 この平造脇差は、寸法が一尺三寸を超えて延びやかに、しかも身幅が特に広く、真の棟に仕立てられた南北朝様式の体配。地鉄は板目に流れごころの肌を交えて強く錬れ、地景が太く入り、沸映りが鮮やか。信國得意の彫物は腰元の表裏に三鈷柄剣と不動明王の梵字が浮かび上がり、中程から棒樋が刻されて荘厳な様相。刃文は焼高い互の目に小互の目、尖りごころの刃、矢筈風の刃を交え、煌めく沸で刃縁が明るく、中程から先は飛焼が頻りに掛かって皆焼(ひたつら)の様相を呈し、沸付いて明るい刃中には沸足と葉が入り、さらに沸筋、小形の金線が躍動する。帽子は激しく乱れ込んで長めに返る。信國といえば、湾れで繋いだ互の目が規則的に連れた耳形の刃文が特徴ともされるが、本作は奔放多彩な変化をみせて覇気横溢。錆色深い茎には「式部丞」に姓と官途を冠した銘字が神妙に刻され、永享四年の年紀も貴重である。新将軍足利義教の強権下、高位の武士(注)の需で精鍛された作であろう。延文、貞治の初祖の鍛法そのままの、頗る優れた出来栄えである。

注…左衛門尉、式部丞等の官途銘は、幕府内の勢威のある武士が後援者であった事を想起させる。