短刀
銘 藤嶋友重

Tanto: Signed. Fujishima TOMOSHIGE

加賀国 応永頃

刃長 八寸七分七厘
反り 六厘
元幅 八分五厘
棟重ね 一分七厘

金着二重ハバキ 白鞘付

朱変り塗鞘小さ刀拵入
 拵全長 一尺六寸五分
 柄長 四寸強

昭和四十四年茨城県登録

重要刀剣
3,300,000円

Kaga province
Oei era(A.D.1394-1427, early Muromachi period)

Ha-cho (Edge length) 26.6cm
Sori (Curvature) approx. 0.18cm
Moto-haba (width at Ha-machi) approx. 2.58cm
Kasane (thickness) approx. 0.52cm
Gold foil double Habaki
Wooden case (Shirasaya)

Shu kawari nuri saya, chisagatana koshirae
 Whole length: Approx. 50cm
 Hile length: Approx. 12.1cm

Juyo
3,300,000 JPY

 加賀国の古鍛冶藤嶋友重の最古の年紀作は応永二年正月廿二日(『日本刀工辞典』)である(注①)。地鉄の鍛えが優れ、美濃の影響を受けたものであろう尖刃を交えながらも、備前物を想わせる互の目乱刃を基礎とし、湯走り、金線、砂流しが強く働いて二重刃となるなど大和伝の特色をも窺いとれる作がある一方で、来國俊に見紛う直刃出来の振袖茎の傑作短刀(本間薫山博士旧蔵 重要刀剣 『銀座情報』百七十一号掲載)もあり(注②)、作域の広さとそれを熟す技量の高さ、即ち刀工としての奥深さは計り知れないものがある。
 この短刀は、藤嶋友重の優質が存分に示された一口。身幅が広くわずかに反りの付いた、応永より一時代上がる風情の姿。穏やかな地景を伴う板目鍛えの地鉄は杢肌を交えて肌起ち、全面に細かな地沸が湧いて沸映りが立つ。刃文は互の目に小互の目、浅い湾れ、尖りごころの刃を交え、激しい湯走りが掛かって地刃の境を装い、帽子は浅く乱れ込み、突き上げごころの小丸に、長めに返る。沸と匂の複合になる焼刃は淡雪のように叢付いた沸で明るく、刃境の湯走りは太い金筋、激しい砂流しとなって匂で透明感のある刃中に流れ込む。茎は刃方が強く上がった所謂加州茎の先駆をなし、逆鑚が多用された細鑚の銘字は一画一画に力が籠り、銘振りに衒いが全くなく格別なる味わい。二つの目釘穴も表裏から穿たれて古色がある。高位の武士のために特別に鍛造された作で、出来が頗る優れている。
 清楚な菊花尽図金具で装われた朱変り塗鞘の、品の良い小さ刀拵に収められている。

注①…他に応永二年二月日紀の短刀(第三十一回重要刀剣)、応永十六年二月八日紀の脇差(本間薫山博士旧蔵。『名刀図鑑』百八十四号)がある。無年紀の作にも、熱田神宮蔵の友重二字銘の太刀(重美)のように、製作年代を鎌倉末期とされる。
注②…『古今鍛冶備考』に「来國俊門と云」とあるのはかくなる作がある故であろう。