薩摩国 正保二
刃長:二尺四寸七分五厘
反り:五分三厘
元幅:一寸八厘
先幅:七分三厘
棟重ね:二分強
鎬重ね:二分四厘
金着二重ハバキ 白鞘入
『薩摩刀名作集』『薩摩の刀と鐔』
『刀影摘録 神津伯押形』『新刀鍛冶綱領』
『新刀大鑑』所載
昭和26年東京都登録
特別保存刀剣鑑定書
三百三十万円(消費税込)
Satsuma province
Shoho 2 (A.D. 1645, early Edo period)
Hacho (Edge length) : 75cm
Sori (Curvature) : Approx. 1.61cm
Moto-haba (Width at Ha-machi) : Approx. 3.27cm
Saki-haba (Width at Kissaki) : Approx. 2.21cm
Kasane (Thickness) : Approx. 0.73cm
Gold foil double Habaki
Wooden case (Shirasaya)
Published in "Satsuma-to Meisaku shu"
"Satsuma no Katana to Tsuba"
"Toei tekiroku Kozu Haku oshigata"
"Shinto kaji koryo" and "Shinto Taikan"
Tokubetsu-Hozon certificate by NBTHK
Price 3,330,000 JPY
初代伊豆守正房は丸田兵右衛門と称し、初代備後守氏房の次男。青年時代は島津家の軍勢として関ケ原合戦に出陣し、帰郷後は藩命によって京に上り、研師および鑑定家として知られる竹屋源七郎延安に就いて相州伝の鍛法を学び、後に伊豆守を受領して父譲りの初銘氏房を正房と改めた。彼の相州伝の作品は古風に見えるものが多く、後の『新刀弁疑』の著者鎌田魚妙は「薩摩鍛冶の冠たるべきもの、主水正正清の上に置くべきものなり」と高く評価しているが、その割に現存品が尠く、無銘にされ、古刀の上作物に紛れたものがあるとの説を否定できない根拠となっている。
表題の刀は、寸法が延びて元先の身幅が広く、鎬を張らせて重ねの厚い堂々の体躯。小板目鍛えにて綴じ付けられた地鉄は芯まで錬れて地沸が厚く付き、荒ぶることのない地景が天草(てんぐさ)状に働いて躍動し、さらに濃密な沸映りが焼刃に迫るも、刃文は対照的に静穏な直刃。匂と小沸の複合になる焼刃にはごく小形の互ノ目と小足を配し、小沸の零れる刃境に段状の湯走り、ほつれを交えて古調な趣を呈し、堀川國廣の如き新古の妙を兼備した名作となっている。