剣 銘 備州長舩住景政



 

備前国 鎌倉後期嘉暦頃 十四世紀前半

刃長 七寸九分五厘(24.1cm)
元幅 六分一厘
重ね 二分
彫刻 表裏 細樋掻き流し

朱漆塗印籠刻鞘合口剣拵
 拵全長 一尺五寸八分
柄長 三寸八分

剣 銘 備州長舩住景政剣 銘 備州長舩住景政

朱漆塗印籠刻鞘合口剣拵 剣 銘 備州長舩住景政朱漆塗印籠刻鞘合口剣拵 剣 銘 備州長舩住景政

剣 銘 備州長舩住景政剣 銘 備州長舩住景政

剣 銘 備州長舩住景政剣 銘 備州長舩住景政

朱漆塗印籠刻鞘合口剣拵

雲文図揃金具 頭

雲文図揃金具 縁

雲文図揃金具 縁

雲文図揃金具 栗形

梅花図折金

雲文図揃金具 鐺

三巴紋図目貫

三巴紋図目貫

菱図小柄

鐔 素銅地無文金縄目覆輪

剣 銘 備州長船住景政 ハバキ

  景政(かげまさ)は備前長光の子と伝える刀工で、名を進士三郎という。正中二年七月、関東武士団丹治党の大河原蔵蓮、時基父子の需による武蔵国秩父神社への奉納太刀(注①)(御物 宮内庁三の丸尚蔵館蔵)を兄景光と共に手掛け、嘉暦四年七月にも、同様に大河原時基の需になる播磨国廣峯社への奉納太刀(国宝 埼玉県立博物館蔵)を打っている。だが、兄景光の作刀協力に終始した為であろう、景政在銘の遺作を見ることは極めて稀である。
 表題の作は、武神降臨(注②)を願う武将の為に特別に精鍛された景政の剣。身幅重ね尋常で、鎬筋上の細樋によって姿が凛と引き締まる。小板目鍛えの地鉄は、杢目と刃寄りに柾を配して僅かに肌立ち、刃の際に澄んだ暗帯部を伴う映りが立ち、鎬筋寄りが地沸で輝き、その白と黒の織りなす自然なコントラストで鋼ながら透き通るような美しさ。細直刃の刃文は、銀粉のような沸で刃縁が明るく、打ちのけ風の湯走り、ほつれ、微かな金線と砂流しが掛かって処々二重刃となる。茎は細かな錆が深く降り積もって歴史の重さを感じさせ、目釘穴の様子もいかにも古く、細鑚で神妙に刻された銘字は鑚の線が清く澄む。
印籠刻の拵は朱鞘の色合いに温味があり、雲文図縁頭、栗形、鐺の黒化した銀地金具の色合いが渋く、菱図小柄も古風。古寂にして瀟洒な趣はまさに数寄者好みで、重要刀剣等図譜に記されている「古雅で気品にあふれた作」の評価通りの名品となっている。

注①…参考写真。 注②…無銘千手院の剣(龍門蒔絵鞘三鈷柄剣拵。第十八回特別重要 刀剣指定)の説明図譜に「剣は武家の実用品ではなく、御神体か仏像の持物か或いは祭祀に用いられたものである」とある。

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