美濃国 天文頃 四百七十年前
穂長 二尺二寸七分七厘(六九糎)
元幅 九分九厘 重ね 三分三厘
茎長 一尺九寸八分 彫刻 裏 打樋 白鞘付
黒石目地塗鞘槍拵入 拵全長 約八尺八寸
鞘長 約二尺五寸 柄長 六尺三寸
昭和四十八年福島県登録
保存刀剣鑑定書
四十五万円(消費税込)
Mino province
Tenbun era
About 470 years ago
Hocho(Edge of spear length) : 69cm
Moto-haba(Width at beginning of temper line
approx. 3cm
Kasane (Thickness) approx. 1cm
Nakago length :
60cm
Engraving : Uchi hi
Scabbard length : Approx. 75.8cm
Hilt length : Approx. 190.9cm
Shirasaya
Hozon by NBTHK
Price 450,000 JPY
兼春(かねはる)と極められた、極めて寸法の長い平三角直槍。兼春は室町末期天文頃の美濃国の刀工で、天文廿三年紀の濃州関住人兼春作と銘のある皆(ひた)焼(つら)風の短刀の遺例がある(『室町期美濃刀工の研究』)。 穂長二尺三寸のこの槍は、塩首(しおくび)が太くがっちりとして、しかも鎬筋が強く立ち、茎長も二尺に迫る豪快な造り込み。長さは即ち威力。これを長柄の拵に装着すれば敵との距離を保った上で、突く、斬る、叩くといった攻撃が可能。平造の裏面に幅の広い打樋があることで、差し貫いた穂先を素早く抜き戻して次の攻撃にも向けられる。刺突の耐久性を高めるために柾目に鍛えられた地鉄は、粒立った地沸を伴い荒々しく流れて肌起ち、凄味のある関映りが立つ。刃文は塩首の上で焼き落され、尖りごころの互の目が連れ、沸付いて刃縁が明るく、鋒から四寸程は頻りに湯走りが掛かって地肌も固く焼締められ、刃縁の沸が潤みごころに焼刃の硬度が調整され、刺突の威力と耐久性を兼備した戦国気質芬々たる様相を呈している。 黒石目地塗鞘とされた堅牢な槍拵が付されており、槍を手に戦陣に立つ武将の雄姿が想起される。 保存刀剣鑑定書(兼春) 四十五万円(消費税込)