脇差
銘 備前國住長舩宗光
文明十年十一月日(良業物)
Wakizashi: Bizen no kuni ju Osafune MUNEMITSU
Bunmei 10 nen 11 gatsujitsu(Yoki Wazamono)

備前国 文明 四十二歳 五百四十五年前

刃長 一尺七寸九分
反り 五分
元幅 九分六厘
先幅 六分五厘
棟重ね 一分九厘強
鎬重ね 二分六厘
金着二重ハバキ 白鞘付

黒石目地塗鞘脇差拵入
 拵全長 二尺五寸五分
 柄長 五寸三分
昭和二十六年東京都登録

特別保存刀剣鑑定書

Bizen province
Bunmei 10(A.D.1478, mid Muromachi period)
545 years ago, Work at his 42 years old

Ha-cho (Edge length) 54.2cm
Sori (Curvature) approx. 1.52cm
Moto-haba (width at Ha-machi) approx. 2.9cm
Saki-haba (width at Kissaki) approx. 1.97cm
Kasane (thickness) approx. 0.79cm
Gold foil doubleHabaki
Wooden case (Shirasaya)

Kuro ishimeji nuri saya, wakizashi koshirae
 Whole length approx. 77.3cm
 Hilt length approx. 16cm

Tokubetsu-Hozon certificate by NBTHK

 宗光は戦国期の備前長舩の刀工で、永享九年に六郎左衛門祐光の子として生まれた。二歳年上の兄勝光と共に備前、播磨、美作の守護大名赤松政則に仕えて篤実な働きが認められ、兄勝光は右京亮、宗光は左京進を任官している。抜群に優れた作刀技術の持ち主で、直刃出来の刀や脇差、短刀に見るべき作が多い。
 この脇差は、赤松政則が領国経営を固めつつある文明十年に精鍛された、宗光が得意とする直刃の優品。腰元でしっかりと踏ん張り、鎬筋が立って反り高く中鋒の造り込みは戦国時代の刀姿ながら洗練味があり、武器と思えない程の美しさ。宗光に特徴的な密に錬れて詰んだ小杢目鍛えの地鉄は、処々に揺れて流れる板目を交え、微細な地沸が全面に付いて潤い、刃寄りに澄んだ暗帯部を伴う直調の映りが明瞭に現れ、鉄色明るく冴えて極上の美観を呈する。直刃仕立ての刃文は、穏やかな小互の目を交えて繊細に変化し、焼の深い帽子は先端が小沸でほつれ掛かり、丸くごく僅かに返る。純白の小沸が付いて刃縁がきっぱりと冴えた焼刃は、刃境に小足と葉が無数に入り、葉が連なって一部が二重刃風となり、一段と微細な沸と匂が立ち込めた刃中は水色に澄んで明るく、鮮やかな刃味の程を想像させる。保存の優れた茎の銘字は鑚の付留がしっかりと刻され、殊に長の第六画が釣針形に跳ねて力が籠り、俗名はないが入念作であることは明らか。武器というにはあまりにも美しい一振となっている。
 繊細な図案からなる上質の秋草金具で装われた、黒石目地塗鞘の洒落た脇差拵が付されている。