平造脇差
銘 備陽長舩住祐春
君万歳
Hira-zukuri Wakizashi: Biyo Osafune ju SUKEHARU
Kimi Banzai

備前国 天保頃 約百九十年前

刃長 一尺一寸二分八厘
反り 二分四厘
元幅 九分
重ね 二分強
彫刻 表 腰樋・添樋 裏 細樋・連樋
金着一重ハバキ 白鞘入

平成元年宮崎県登録

保存刀剣鑑定書
四十万円(消費税込)

Bizen province
Tenpo era (A.D. 1830-1843, late Edo period)
About 190 years ago

Ha-cho (Edge length) 34.2cm
Sori (Curvature) approx. 0.73cm
Moto-haba (width at Ha-machi) approx. 2.73cm
Kasane (thickness) approx. 0.61cm
Engraving ;
 "Koshi-hi""Soe-hi" on the front (Omote)
 "Hoso-hi""Tsure-hi" on the back (Ura)
Gold foil single Habaki
Wooden case (Shirasaya)

Hozon certificate by NBTHK
Price 400,000 JPY

 祐春は横山安之進壽次の子で、名を茂平といい、天保から嘉永に年紀作を遺している。加賀介祐永と同じく「友成五十六代孫」と添銘を入れた作があり、作風、銘形もまた祐永に酷似していることから、祐永を棟梁とする江戸後期の備前祐定一門の有力な刀工の一人であったことが知られる。
 この脇差は身幅の割に寸法が延び、適度な反りが付き、樋が掻かれて姿引き締まり、さながら盛光や康光など応永備前を想わせる洗練味ある姿。地鉄は小板目に小杢目を交えてよく錬れて詰み、無地風とはならず肌目が緻密に立ち、小粒の地沸が厚く付いて地肌潤い、鉄色は晴れやか。やや長めの直焼き出しから始まる互の目丁子の刃文は、房状の刃、桜の花弁のような刃を交えて華麗に変化し、純白の小沸が柔らかく降り積もった刃縁はほつれ、金線が濃密に入り、匂足が長く射す。刃文は物打辺りから直刃に転じ、帽子は小丸に長めに返る。保存の良い茎には丁寧な銘字が切り施されている。祐永に迫る祐春の非凡な技量を伝えて貴重である。

注…佐藤寒山博士の「同作中優」の鞘書のある短刀がある(『銀座情報』四六号)。

平造脇差 銘 備陽長舩住祐春 君万歳
平造脇差 銘 備陽長舩住祐春 君万歳 差表
平造脇差 銘 備陽長舩住祐春 君万歳 差裏
平造脇差 銘 備陽長舩住祐春 君万歳ハバキ
祐春押形