摂津国 寛文頃 約三百四十年前
刃長 一尺八寸一厘
反り 二分三厘
元幅 一寸九厘
先幅 七分三厘強
重ね 二分三厘
金着二重ハバキ 白鞘入
昭和四十年愛媛県登録
特別保存刀剣鑑定書
六十万円(消費税込)
Settsu province
Kanbun era (A.D. 1661-1672, early Edo period)
About 340 years ago
Ha-cho (Edge length) 54.6cm
Sori (Curvature) approx. 0.7cm
Moto-haba (width at Ha-machi) approx. 3.3cm
Saki-haba (width at Kissaki) approx. 2.21cm
Kasane (thickness) approx. 0.7cm
Gold foil double Habaki
Wooden case (Shirasaya)
Tokubetsu-Hozon certificate by NBTHK
Price 600,000 JPY
大和守吉道二代は名を三品四郎兵衛、後に傳右衛門という。大坂城下の上呉服町一丁目(錦町ともいう(注①)。現在の大阪府中央区大手町)に住し、父初代の技術を継承し、京丹波吉道創始の川の流れを想わせる刃文、新鮮味のある丁子乱刃、助廣に倣った濤瀾風の互の目乱刃(注②)等を能くした優工。天和頃に姫路藩主本多中務大輔忠國に召し抱えられ、「姫路大和」と尊称されている(『新刃銘盡後集』巻之一)。
この脇差は、身幅が広く両区深く重ねも厚く、反りを控えて中鋒の寛文新刀体配。鎬筋が張って凛とした姿は好感が持てる。板目鍛えの地鉄は平地の鍛えが鎬地にも現れ、太い地景が入り、処々に強く立った杢肌が現れ、地沸が厚く付いて沸映りが立つ。互の目に丁子を交えた刃文は起伏に富み、刃縁は小沸で明るく、一部に荒めの凝ったような沸が付いて雪の叢消えの態となり、沸付いて明るい刃中には太い金線が躍動し、砂流しも盛んに掛かり、太い足が入る。帽子は浅く弛んで小丸に返る三品帽子。特別の需で相州正宗を念頭に精鍛された一振であろうか、常とは異なる、奔放にして大胆な刃文構成が魅力。二代らしい太鑚の堂々たる銘字が刻されている。大坂の賑わいを偲ばせる姫路大和の優脇差である。
注①…大坂丹波守吉道も同じ町内である。
注②…濤瀾風大互の目乱刃の傑作刀(二十六回重要刀剣指定)がある。