美濃国 天文頃 約四百八十年前
刃長 一尺四寸
反り 一寸強
元幅 九分五厘半
物打幅 一寸六厘
棟重ね 二分二厘
鎬重ね 二分三厘
彫刻 表裏 腰薙刀樋角留・添樋
金色絵一重ハバキ 白鞘入
令和二年千葉県登録
保存刀剣鑑定書
四十万円(消費税込)
Mino province
Tenbun era(A.D.1532-1554, late Muromachi period)
About 480 years ago
Ha-cho (Edge length) 42.4cm
Sori (Curvature) approx. 3.03cm
Moto-haba (width at Ha-machi) approx. 2.89cm
Monouchi-haba (width at Monouchi) approx. 3.21cm
Kasane (thickness) approx. 0.7cm
Engraving:"Koshi Naginata-hi" Kaku-dome with "Soe-hi"
on the both sides
Gold plating single Habaki
Wooden case (Shirasaya)
Hozon certificate by NBTHK<
Price 400,000 JPY
孫六と尊称される二代目の活躍で広く知られる兼元(かねもと)一門は、明応頃に始まり、戦国時代の需要に応じ、切れ味の優れた刀を戦場に送り出して武将の信頼に応えた。戦国武将の美濃刀への要求は「折れず曲がらず良く切れる」の謂いに現れており、兼元一門は、刀の造形から鋭く仕立てた刃先はもちろん、折り返し鍛錬の方法、刃文の形状、焼刃の沸匂に至るまで研究を突き詰め、後に最上大業物に位列される技術に到達したのであった。
薙刀は、戦国期においては刀以上に重宝された実戦武器。この作者兼元は、孫六門下と推考されている「まこ六兼元(注)」と似た銘を切っており、高い技術で孫六兼元に仕えた一人と考えられる。物打辺りから強く反りの付いた巴形の姿形は截断の効用を高めたもの。鎬を高く仕立てて棟寄りの肉を削いで刃の通り抜けを良くした構造は薙刀の特徴。さらに刃先を薄く仕立て、焼幅を狭くして激しい打ち合いでも折損せぬよう考慮されている。所々肌起つ板目肌流れごころに鍛えられた地鉄は、総体にねっとりとした粘り気を感じさせ、全面が関映りで白く明るく凄味がある。刃文は尖刃を交えた小互の目の連続で、物打辺りの乱れが強まり、帽子は掃き掛けを伴い、先端まで調子を同じくしてごくわずかに返る。匂口の締まった焼刃は、刃境に小沸が付き、物打辺りの乱れに伴って湯走り、金線、沸筋、ほつれが働く。鷹ノ羽鑢が施された茎に、小振りながら孫六兼元一門の特徴的な銘が刻されている。関物に遺例の少ない優薙刀である。