鎧通し短刀
銘 備前國住長舩次郎左衛門尉勝光
享禄五年二月吉日 土居直氏
(良業物)
Tanto(Yoroi-doshi)
Bizen no kuni ju Osafune Jirozaemon no jo KATSUMITSU
Kyoroku 5 nen 2 gatsu kichijitsu
(Yoki-Wazamono)

備前国 享禄 四百九十二年前

刃長 七寸九厘
内反り僅少
元幅 七分三厘
重ね 二分九厘
金着二重ハバキ 上製白鞘付

黒漆塗鳳凰蒔絵鞘小さ刀拵入
 拵全長 一尺六寸四分
 柄長 四寸三分

昭和三十五年山口県登録

特別保存刀剣鑑定書

Bizen province
Kyoroku 5(A.D.1532, late Muromachi period
492 years ago

Hacho(Edge length) 21.5cm
Slightly curved inward
Moto-haba(Width at ha-machi) approx. 2.21cm
Kasane (Thickness) approx. 0.88cm

Gold foil double Habaki / Shirasaya

Kuro urushi nuri "HoO" makie saya,chisagatana koshriae
 Whole length: approx. 49.7cm
 Hilt length: approx. 13cm

Tokubetsu-Hozon by NBTHK

 次郎左衛門尉勝光は戦国期の備前の名工。赤松政則に仕えた父右京亮勝光譲りの鍛刀技術と、優れた感性で手掛けた名品には「朝嵐」の号の永正元年八月吉日紀の刀(重美)、宇喜多能家の需で与三左衛門尉祐定を向鎚に精鍛した薙刀、尼子経久の為に打った「一期一腰作之」の銘のある刀(重文)等がある。
 土居直氏(注)なる武士の需で精鍛されたこの短刀は、重ねが頗る厚く、僅かに内反りが付いて凛とした姿で、掌に収まり良く片手での操作に優れた茎仕立ての、敵の鎧の間隙を突くに適した鎧通し。地鉄は差表が小板目に小杢目を交えて詰み、差裏は小板目に僅かに流れごころの肌を交えて微かに肌起ち、表裏共に地景が密に入り、小粒の地沸が厚く付いて淡い沸映りが立つ、次郎左衛門勝光らしい潤いのある精強な鍛え。直刃の刃文は、手元での折損防止のためであろう、刃区上一寸程の焼刃が潤みごころとされ、その上は淡雪のような小沸が付いて匂口きっぱりと冴える。帽子は焼深く、横に展開して棟焼に連なる。厳しい戦国気質を現した武器ながら、陶然とするような地刃の美しさは格別。茎には俗名入の銘が神妙に刻され、裏には年紀と共に所持銘がある。
 鳳凰文陰蒔絵が施された拵は、網代模様の小さな鐔が掛けられ、桐紋図小柄と目貫が付されて瀟洒。内外共得難い逸品となっている。

注…四国宇和島の大森城主で、大友氏や長曾我部氏と渡り合った武将土 肥清良の一族であろうか。