肥後国 文政 百九十六年前
刃長 二尺六寸四分五厘
反り 八分九厘
元幅 一寸一分二厘
先幅 六分五厘
棟重ね 二分五厘強
鎬重ね 二分九厘強
彫刻 表裏 棒樋丸止
金着一重ハバキ 白鞘入
黒刷毛目塗鞘肥後拵入
全長 三尺五寸八分
柄長 八寸一分
昭和三十六年熊本県登録
保存刀剣鑑定書
百三十万円(消費税込)
Higo province
Bunsei 10 (A.D.1827, late Edo period)
196 years ago
Ha-cho (Edge length) 80.1cm
Sori (Curvature) approx. 2.7cm
Moto-haba (width at Ha-machi) approx. 3.39cm
Saki-haba (width at Kissaki) approx. 1.97cm
Kasane (thickness) approx. 0.88cm
Gold foil single Habaki
Wooden case (Shirasaya)
Engraving: "Bo-hi" maru-dome on the both sides
Kuro hakeme nuri saya, Higo koshirae
Whole length: approx. 108.5cm
Hilt length: approx. 24.5cm
Hozon certificate by NBTHK
Price 1,300,000 JPY
加藤清正の鍛冶として活躍した戦国時代末期の同田貫派は、加藤家の改易と共に刀鍛冶を廃した者も多く、江戸時代中頃の作例はないが、幕末に至って同田貫の名を冠した宗廣が目覚ましい活躍をし、作品も多い。「玉名住」と室町時代の同田貫一派の居住地の銘のある作を遺しているこの直景は、文政の年紀から宗廣に先行して同田貫を再興した刀工の一人である。
この刀は、鎌倉時代の太刀を手本としたものであろう寸法長めに腰反りが深く、元幅広く樋を掻いて伸びやかな姿格好。地鉄は九州古作に通じる白気映りが全面に立つ板目肌で、その所々に斑状の映りが加わり、刃寄りには刃文を映したような乱れた映りも立つ。刃文は尖刃を交えた小互の目乱で、帽子も乱れ込んで先端が丸く返る。匂口に柔らか味のある焼刃は、刀身下半が沸と匂の充満、中ほどから匂口に冴えを増して刃中が澄み、所々に小足が射して凄みがある。
茶の下地に黒漆を刷毛目塗とした鞘に鉄地泥摺るを装着し、鐔は肥後金工風の繊細な金線象嵌が鮮やかに輝く牡丹唐草影蝶透しの品位の高い作を掛け、黒鮫皮に瓢箪図目貫と素銅地高彫銀象嵌の九曜紋図縁と
頭を燻革で堅く巻き締めた柄の、肥後拵に収められている。