大磨上無銘 尻懸

Katana
no sign(O-suriage) SHIKKAKE

大和国 南北朝後期  約六百三十年前

刃長 二尺二寸三分五厘
反り 五分六厘
元幅 九分九厘
先幅 六分五厘半
棟重ね 一分七厘強
鎬重ね 二分一厘
金着一重太刀ハバキ 白鞘入

平成十三年埼玉県登録

特別保存刀剣鑑定書(尻懸)
百二十万円(消費税込)

Yamato province
Late Nanboku-cho period(late 14th century)
About 630 years ago

Ha-cho (Edge length) 67.7cm
Sori (Curvature) approx. 1.7cm
Moto-haba (width at Ha-machi) approx. 3cm
Saki-haba (width at Kissaki) approx. 1.98cm
Kasane (thickness) approx. 0.64cm
Gold foil single Tachi Habaki
Wooden case (Shirasaya)

Tokubetsu-Hozon certificate by NBTHK
(Shikkake)
Price 1,200,000 JPY

 大和五派の一、東大寺の裏手に当たる山中に鍛冶場を設けていた尻懸(しっかけ)派と極められている大磨上げの刀。尻懸派は鎌倉時代後期の暦応の年紀作を遺す則長に始まり、二代以降の同銘が室町時代中頃に及び、また、則直、則成、則國、則氏など則を通字とする同派の末の工の活躍も知られている。時代の上がる太刀の多くが長寸であったため、後に磨り上げられて無銘とされたものが多い。
 この刀も、江戸時代前期に操作性を考慮して仕立て直されたもので、衛府太刀拵などに収めるために茎が柄曲がりに造り込まれた、南北朝後期の尻懸の特徴が良く現れている作。扱い易い寸法を中間反りとし、棟を削いで鎬を高く仕立てており、茎へと続く反り格好は古式の陰影。地鉄は杢目を交えた板目肌を基調に佩表が特に強い柾目肌となり、細かな地沸を分けるように地景が目立ち、所々に押し合うような渦巻き肌が現れ、淡い映りが全面を覆い、刃寄りは柾気が強まり大和色の濃い働きの要となっている。刃文は直刃に浅い湾れを複合し、わずかに丸みのある焼頭を所々に連続させる構成で、帽子は掃き掛けを伴う焼詰め。匂に小沸を伴う焼刃は一段と明るく、柾肌に伴ってほつれ、喰い違い、沸筋、湯走りが掛かり、刃境には鋭い金筋が走り、足が長く入る刃中の匂を切って砂流しが掛かる。